ホリオン・グレイシー

ホリオン・グレイシーの生涯と功績

ホリオン・グレイシー（Rorion Gracie、1952年生まれ）は、ブラジリアン柔術の選手であり、指導者としても高く評価されています。エリオ・グレイシーの長男で、グレイシー一族に生まれた彼は、現在では世界でも数少ないブラジリアン柔術9段赤帯の保持者として知られています。彼はこの武道をアメリカ及び世界中に広めるために尽力し、その功績は計り知れません。

幼少期と教育

ホリオンは幼少のころからブラジリアン柔術を始め、父であるエリオ・グレイシーから指導を受けました。後にリオデジャネイロ連邦大学を卒業し、法学士の学位を取得します。彼の教えは哲学だけでなく、実戦的な技術にも重点が置かれており、柔術を通して得た知識と経験を生かすため、1980年代後半にはアメリカに移住する決断を下しました。

アメリカへの移住と柔術の普及

1978年、ホリオンはアメリカの南カリフォルニアに移り住み、映画やテレビのエキストラとして働きながら、自宅のガレージでブラジリアン柔術の指導を開始しました。この活動が次第に注目を集め、彼は1987年に映画『リーサル・ウェポン』の技術アドバイザーとして参画し、メル・ギブソンやゲイリー・ビジーにブラジリアン柔術を指導しました。

続いて、1988年にはグレイシー一族の歴史や挑戦の様子を収めたドキュメンタリービデオ「グレイシー柔術・イン・アクション」を制作。1989年にはカリフォルニア州トーランスに初のグレイシー柔術道場を開設し、ホイス・グレイシー、ヒクソン・グレイシー、ホイラー・グレイシーと共に活動を広げていきました。

UFCの創立と影響

1993年にはホリオンはアート・デイビーと共にUFCを創設。初代メンバーとしてホイス・グレイシーを出場させ、グレイシー柔術の技術が格闘技界においてどれほど有効であるかを世界に知らしめる成功を収めました。このイベントは後に多くの格闘技ファンを魅了し、グレイシー柔術の発展に寄与しました。

軍や警察への指導

さらに、1994年にはアメリカ陸軍から依頼を受け、ブラジリアン柔術を基にした戦闘技術の開発に取り組みました。この結果、ホリオンは「グレイシー・コンバティブ・ミリタリー・コース」を考案し、多くの軍関係者に指導を行いました。このプログラムは後にアメリカ陸軍の公式な格闘技術として採用されることが決まりました。

また、同時期に警察当局からの依頼で「グレイシー・レジスティング・アタック・プロシージャー・フォー・ロウ・エンフォースメント」を開発し、警察の格闘訓練でも使用されるようになりました。

人物評価と出版活動

ホリオンは、UFC選手のハビエル・バスケスの義父でもあります。また、2006年には雑誌『Black Belt』でInstructor of the Yearに選ばれ、2003年には父エリオから9段赤帯を授与されるなど、彼の業績は高く評価されています。さらに、2011年に出版した『The Gracie Diet Book』では、グレイシー一族の健康と長寿、柔術における食事の重要性について解説しています。

結論

ホリオン・グレイシーは、ブラジリアン柔術の第一人者としてだけでなく、その普及活動を通じて格闘技界に多大な影響を与えました。彼の教えや取り組みは今後も多くの人々に受け継がれていくことでしょう。

もう一度検索