ホリゾント

ホリゾントとは

ホリゾントとは、舞台やスタジオにおける背景用の布幕やその照明を指します。この用語はドイツ語の「Horizont」（地平線）に由来し、空や空間を描写するために使用されます。本来、ホリゾントの目的は無限の空を表現することにあります。これを理解するために、ホリゾント幕とそれを照らすホリゾントライトについて詳しく見ていきましょう。この二つは、演劇や映画における重要な要素として、視覚的な演出を担っています。

ホリゾント幕

ホリゾント幕は、主に舞台の背面に設置された大きな白い布で、照明を当てることで多様な背景を表現します。この幕は「ホリ幕」とも呼ばれ、日本の映画界での利用は1931年に遡ります。その先駆者は有名な映画技術者、円谷英二であり、彼が最初にホリゾント撮影法を導入しました。舞台によっては、中間部に設置された「中ホリゾント幕」も存在し、これにより背景のバリエーションがさらに広がります。

大黒幕

大黒幕とは、ホリゾント幕を隠すために使用される黒い幕のことを指し、一般には「おおぐろ」と呼ばれます。大黒幕は、ホリゾント幕を見せないことで演出効果を高める役割を果たします。この幕はグレーでも「おおぐろ」とされ、特に歌舞伎の舞台では「無」や夜の屋外を象徴しています。ほとんどの劇場において、ホリゾント幕とセットで設置されています。

ホリゾントライト

ホリゾントライトは、ホリゾント幕を照射するライトです。このライトには主にアッパーホリゾントライトとロアーホリゾントライトの2種類があります。アッパーホリゾントライトは幕の上部から吊るされており、通常3色から6色の光を使って、様々な雰囲気や情景を作り出します。

ロアーホリゾントライトは、床に設置され、通称「ローホリ」と呼ばれます。これにより、照明効果はより一層強化され、観客に与える印象が変わります。これらのライトは、青空や夕焼け、草原などの自然の風景を再現するために重要な役割を担い、様々な色の組み合わせで演出が可能です。

結論

ホリゾントは、舞台や映像作品において不可欠な要素であり、視覚的なストーリーテリングの重要な役割を果たします。ホリゾント幕、ホリゾントライト、大黒幕は、それぞれの役割を持ちながら、全体の演出を支える要素となっており、演出家や照明技術者の技巧が試される場面です。これにより、観客に深い印象を与えることができるのです。

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