ホロデッキ

ホロデッキについて

ホロデッキ（holodeck）は、アメリカのSFテレビドラマ『スタートレック』シリーズに登場する架空の装置で、リアルなシミュレーションの空間を生成します。その初登場は、1987年に放送された『スタートレック: TNG』（The Next Generation）の第1話『未知への飛翔（Encounter at Farpoint）』です。

構造

ホロデッキは、おおよそ1辺数メートルの立方体の部屋で構成されています。この内部には、様々なシステムが複雑に組み合わせられ、リアルな体験を可能にする環境が作り出されています。重力制御の技術により、ユーザーはトレッドミルの上を走っているかのように、自由に動き回ることができますが、実際には壁に衝突することはありません。また、食料品や備品はレプリケーターによってホロデッキ内に転送され、使用後も消滅せず持ち出すことができる『実物』として存在します。

壁の映像

ホロデッキの壁や床、天井には映像が表示され、主に遠景を表現する目的で利用されます。四角形のスクリーンが組み合わされ、通常はスクリーン自体は目に見えませんが、事故や故障が発生した際にはそのフレームを見ることになります。

ホログラム映像

近くにある物体を表現するためには、立体的なホログラム映像が使用されます。しかし、これらのホログラムには実体がないため、例えばホログラムで表現された椅子に座ることはできません。実体感を持たせるために用いられるのがフォースビーム（重力子ビーム）です。この技術により、ホログラムに実際の感触を与えることが可能となります。

ホロデッキマター

ホログラム映像とフォースビームを組み合わせても、完全な質感を再現することには限界があります。そこで登場するのがホロデッキマターで、これはホロデッキ内でのみ有効な物質です。この物質はレプリケーターと同様の技術で生成されますが、外部へ持ち出すことはできず、プログラムが終了すると消滅します。

用途

ホロデッキの用途は多岐にわたります。娯楽だけでなく、宇宙艦隊の士官訓練にも利用されています。宇宙船や宇宙ステーションなど、娯楽設備が乏しい環境では特に重宝されています。また、宇宙艦隊の艦内にはホロ・エミッターが設置され、医療用ホログラムであるホログラムドクターが緊急時に医療行為を行うことも可能です。

その他の側面

ホロデッキは時に危険を伴うこともあります。安全プロトコルが組み込まれているため、危険な状況を回避することができますが、これを解除することで武器を使用することもできます。さらに、ホロデッキの魅力が中毒症状につながることもあり、これをホロデッキ中毒（holodiction）と呼びます。

『新スタートレック』では長期使用がもたらす影響から、登場キャラクターが独自の意思を持ってホロデッキを超える出来事も描かれています。また、宇宙ステーション『ディープ・スペース・ナイン』には「ホロスイート」と呼ばれるホロデッキに似た娯楽施設があります。さらに、宇宙艦隊のU.S.S.プロメテウスには全デッキでホログラムが活動できるようになっています。

まとめ

ホロデッキは、SFの世界において娯楽と訓練の場を提供する革新的な技術です。『スタートレック』シリーズを通じて、ホロデッキの概念は進化し続けており、観る者に未知なる体験を提供し続けています。

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