ホワイトハウス狂騒曲

『ホワイトハウス狂騒曲』（原題：The Distinguished Gentleman）は、1992年に公開されたアメリカ合衆国のコメディ映画です。エディ・マーフィが詐欺師から下院議員へと成り上がる姿をコミカルに描いた作品で、パラマウント映画作品以外の配給会社製作作品としては、彼の初出演作となりました。日本では、本作からブエナ・ビスタ（現：ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ）による配給が再開されました。劇場公開時やVHS、LD、初期のDVDでは『エディ・マーフィのホワイトハウス狂騒曲』という邦題でしたが、DVDの再販時に『ホワイトハウス狂騒曲』に変更されています。

ストーリーは、口達者な詐欺師である主人公ジョンソンが、下院議員のパーティーに潜入し金を得ようと企むところから始まります。しかし、そこで議員たちの不正な取引を目撃し、政治家の方がはるかに儲かると気づきます。偶然にも、そのパーティーに出席していた下院議員が死去。ジョンソンは、彼と自分の名前が酷似していることに気づき、選挙民は議員の死をほとんど気にしないだろうと考え、その議員になりすますことを決意します。

詐欺仲間のロレッタと共にワシントンD.C.に乗り込んだジョンソンは、議員として活動をスタートさせます。大物議員ドッジに取り入り、多額の献金を得られる電力産業委員会の委員に任命されます。委員となったジョンソンは、ロビイストから巨額の献金を受け取り、私腹を肥やしていきます。しかし、真面目に政治改革を求めるシリアや彼女の叔父であるホーキンス議員との出会いをきっかけに、ドッジの不正な行為に疑問を抱き始めます。

ある日、ジョンソンの事務所に、癌を患った少女と母親が訪れます。少女は、小学校の上空を通る送電線の影響で多くの子供たちが病気になっていると訴え、送電線の撤去を求めます。ジョンソンは、若い同僚議員と共に送電線の撤去を求めて改善を訴えますが、電力会社のアンダーソン社長と癒着しているドッジは、問題を隠蔽しようとします。

ジョンソンはホーキンス議員に相談を持ちかけますが、その夜、2人は交通事故に巻き込まれます。ジョンソンはドッジに助けを求めますが、ドッジはこれを利用してホーキンス議員のスキャンダルをマスコミにリークし、彼の評判を落とそうとします。

シリアから詰め寄られたジョンソンは、ドッジとの決別を宣言し、詐欺師としてのスキルを駆使して環境保護庁やマスコミを動かし、委員会の開催を実現させます。委員会の場で、ジョンソンはドッジとアンダーソンの癒着を暴く隠し撮りビデオを公開し、ドッジは汚職の罪で逮捕されます。しかし、ドッジによって詐欺師であることが暴露されたジョンソンも、議員を辞職することになります。

シリアから将来の計画を問われたジョンソンは、「顔が売れたおかげで、詐欺師の仕事はさらにやりやすくなった。有名人で嘘が上手いとなれば、やることは一つだ」と答え、「議員は無理よ」と答えるシリアに、「今度は大統領になる」と冗談めかして言います。

本作は、エディ・マーフィの軽妙な演技と、政治の世界の裏側を風刺したブラックユーモアが絶妙に絡み合った、痛快なコメディ映画です。政治家の不正や社会問題をコミカルに描きながらも、正義や良心といったテーマも織り交ぜた、見応えのある作品と言えるでしょう。

もう一度検索