ホンダ・クロスツアー

クロスツアー（Crosstour）

クロスツアーは、本田技研工業が生産・販売していたユニークなクロスオーバーSUVです。初めは「アコード クロスツアー」として市場に投入されましたが、2012年モデルからはその名が外れ、独立した車種として認識されるようになりました。

発売背景と特徴

2009年の7月、アメリカにおけるホンダの子会社であるアメリカン・ホンダモーターは、同年の秋にフルサイズのクロスオーバーとして「アコードクロスツアー」を販売する計画を発表しました。この車は、ホンダ・パイロットの上位モデルと同等の価格およびサイズを持つ魅力的なモデルです。アコードセダンをベースにした5ドアハッチバックのデザインは、流麗でなだらかなルーフラインと特徴的な大型フロントグリルが印象的です。

同時期にはアキュラ・ZDXも発売されましたが、クロスツアーは異なるプラットフォーム上に構築され、それぞれのブランドに沿った個性が与えられていました。

パワートレインと駆動方式

初期モデルに搭載されたパワートレインは、J35A型のV6エンジン（3.5L SOHC i-VTEC VCM）と5速オートマチックトランスミッションの組み合わせでした。駆動方式には前輪駆動（FF）と四輪駆動（4WD）があり、4WDモデルには「リアルタイム4WD」が採用されていました。

このクロスツアーは、アメリカ、カナダ、メキシコ、ロシア、韓国、中国などの市場で販売され、アメリカ及び中国の工場で製造されていました。

販売状況とモデル展開

しかし、アメリカにおいての販売は思わしくなく、2010年の目標台数35,000台は年30,000台に下方修正されました。また、2011年の上半期には11,518台が販売され、前年同期に対しても減少を見せました。2012年モデルでは、直4 2.4L DOHC i-VTECエンジンを搭載した新しいグレードが追加され、さらなる選択肢を提供しました。

2013年モデルでは、フェイスリフトが施され、エクステリアとインテリアのデザインが刷新されました。特にV6モデルでは、「EARTH DREAMS TECHNOLOGY」が導入され、改良されたエンジン（3.5L SOHC i-VTEC 直噴 VCM）が搭載され、パワーと燃費の向上が実現しました。さらに、トランスミッションも新たにパドルシフト付きの6速ATが採用され、運転の楽しさが増しました。

安全面でも進化があり、リアビューカメラや広角ドアミラーが全てのモデルに標準装備され、上位モデルには前方衝突警報や車線逸脱警報などの先進的な安全技術が搭載されました。

終焉と本車両の意義

しかし、2016年には生産と販売が終了しました。クロスツアーは革新的なデザインと多彩な機能を通じて、ホンダのクロスオーバー市場における存在感を示していましたが、消費者のニーズの変化と競争の激化によって道を閉ざされました。今後もこの車両は、ホンダの歴史と車両開発において重要な役割を果たしたことが記憶されるでしょう。

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