ホンダ・ドリームCB250

ホンダ・ドリームCB250シリーズ：1960年代後半から70年代前半を彩った名車群

ホンダが1968年から製造・販売していたドリームCB250は、1960年代のスポーツバイクCB72/77の後継機種として登場した、250ccクラスのロードスポーツモデルです。その人気から、排気量を拡大した350ccモデルも同時に開発されました。本記事では、CB250/350シリーズ、そしてその派生モデル、後継モデルであるCB250T/CB360Tまでを詳細に解説します。日本国内仕様では、以降「ドリーム」の名称を省略して記述します。

CB250/350：伝統を受け継ぎ、進化したロードスポーツ

CB250/350は、CB72/77からフレーム、エンジンを全面的に刷新。フレームはセミダブルクレードル式を採用し、エンジンは空冷4ストロークSOHC2気筒ながら、前傾していたシリンダーをほぼ直立させました。CB250は排気量249cc、最高出力30ps/10,500rpm、最大トルク2.14kg-m/9,500rpmを達成。CB350は排気量325cc、最高出力36ps/10,500rpm、最大トルク2.55kg-m/9,500rpmと、力強い走りを実現していました。セル・キック併用始動、5段マニュアルトランスミッション、アップタイプのハンドルなど、操作性にも配慮した設計が特徴的です。

サスペンションはフロントがテレスコピック、リアがスイングアーム式。ブレーキは前後リーディングトレーディングタイプ、ホイールは前後18インチスポーク、タイヤサイズは前後で異なっていました。スタイリングはCB72/77を踏襲しつつ、漆黒を基調とした燃料タンクや、一体型メーターなど、洗練されたデザインが魅力でした。1970年までに生産が終了しました。

CB250/350エクスポート：海外市場向けモデル

CB250/350と同時に発表された輸出仕様モデルで、車名はCB250K/350K。12Lの大容量ストライプカラー燃料タンク、2眼式メーターを採用しました。

その後、複数のマイナーチェンジを実施。ブレーキランプの改良、リフレクター追加、カラーリング変更、エンジンの調整によるアイドリング安定化、サスペンションの改良による操縦安定性の向上など、性能と安全性、そして快適性が着実に改善されていきました。

CB250/350セニア：油圧式ディスクブレーキを採用した上級モデル

エクスポートモデルをベースに、前輪ブレーキを油圧式シングルディスクブレーキに変更した上級モデルが「セニア」。キルスイッチ、ヘルメットホルダー、速度警告灯などの追加装備も魅力でした。ハンドル形状の変更などにより、エクスポートとは異なる車体寸法となっていました。セニアもエクスポートと同様のマイナーチェンジを受け、性能・安全性の向上が図られました。

CB250T/CB360T：シリーズの集大成、フルモデルチェンジ

CB250/350エクスポートとセニアを統合、フルモデルチェンジしたのがCB250T/CB360Tです。350ccモデルは、シリンダー内径の拡大により排気量が356ccに向上し、「CB360T」として生まれ変わりました。「T」はTwin（2気筒）を表しています。

CB250T/CB360Tでは、油圧式シングルディスクブレーキを全車標準装備、6速マニュアルトランスミッション、改良されたキャブレター、ホイールベースの延長など、大幅な改良が加えられました。メーター類も充実し、デザインも一新。1977年にホークシリーズへバトンタッチするまで、ホンダのミドルクラスロードスポーツの代表格として活躍しました。

派生車種：多様なニーズに応えたモデル群

CB250/350シリーズをベースに、様々な派生モデルも製造されました。

CD250: ビジネスユース向けモデル。シングルシート、大型リアキャリア、フルカバードタイプのドライブチェーンケースなどを装備。
CL250/350: オン・オフロード両用をターゲットにしたスクランブラータイプ。センターアップマフラーやブロックタイヤが特徴。
SL350: オフロード走破性を重視したデュアルパーパスモデル。低中速トルク重視のエンジンチューニングが施されました。
CJ250T/360T: カフェレーサータイプにカスタムされたモデル。FRP製フロントフェンダー、小物入れ付きシートカウルなどが装備されました。

ドリームCB250シリーズは、ホンダの歴史において重要な位置を占めるモデル群です。多様なバリエーションと改良を重ね、多くのライダーに支持されました。これらのモデルは、現在では貴重なクラシックバイクとして、多くの愛好家に大切にされています。

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