ホンダ・ドリームCB450

ドリームCB450シリーズ：ホンダが世界へ贈った革新的オートバイ

1960年代、世界的なオートバイ市場において、ホンダは小型バイクで成功を収めていましたが、大型バイク市場では欧州勢が圧倒的なシェアを占めていました。この状況を打破すべく、ホンダは大型バイク開発プロジェクト「コンドル計画」を立案。その成果として誕生したのが、ドリームCB450です。本記事では、CB450、その派生車種であるCB500T、CL450について詳細に解説します。

ドリームCB450：革新の象徴

1965年4月に発売されたドリームCB450（K0型）は、排気量444ccの空冷4ストロークDOHC2気筒エンジンを搭載した、ホンダ初の重量級オートバイでした。当時としては画期的だったDOHCエンジン、アルミニウム合金製のシリンダーブロックとヘッド、そしてニードルローラーベアリングなど、数々の先進技術が惜しみなく投入されていました。

その性能は、最高出力43ps/8,500rpm、最大トルク3.82kg-m/7,250rpmを誇り、0-400m加速13.9秒、最高速度181.96km/hという、当時の大型オートバイとしては驚異的な数値を記録しました。また、車体にはセミダブルクレードル型フレーム、テレスコピックフロントフォーク、スイングアーム式リアサスペンションを採用。当時としては最先端の技術が凝縮された一台でした。

特徴的なのは、独特のデザインの燃料タンク（通称「クジラタンク」）と、一体型の楕円形メーターです。このメーターは、11,000rpmまで表示可能なタコメーターと200km/hまで表示可能なスピードメーターを備えていました。

1968年には、改良を加えた45ps仕様（K1型）が登場。圧縮比の向上、吸排気系の改良、クランク軸受の変更、5速トランスミッションの採用などにより、最高出力は45ps/9,000rpmに向上。高速安定性の向上も図られ、ホイールベースも延長されました。メーターも2眼式セパレートタイプに変更されるなど、デザインも進化しました。その後もマイナーチェンジを繰り返しながら、1972年まで生産されました。

ドリームCB450のバリエーションモデル

CB450シリーズには、いくつかのバリエーションモデルが存在しました。

ドリームCB450エクスポート: 燃料タンク容量が拡大され、メタリックカラーが採用された輸出仕様。
ドリームCB450セニア: エクスポートモデルをベースに、フロントブレーキをディスクブレーキに変更した上級モデル。CB750FOURと同様のブレーキシステムを採用していました。
* ドリームCB450P: 警察車両として使用された白バイ仕様。シングルシートや特殊なメーターなどが装備されていました。

後継車種：ドリームCB500T

CB450の後継車種として1974年に登場したのが、ドリームCB500Tです。排気量は498ccに拡大されましたが、最高出力は41ps/8,000rpmと、CB450よりも低く設定。中低速トルク重視のチューニングが施され、扱いやすさが向上していました。しかし、1975年の運転免許制度改正による400cc以下の免許限定や、CB550FOURとの競合もあり、1976年に生産終了となりました。

派生車種：ドリームCL450

CB450をベースに、センターアップマフラーとブロックパターンタイヤを装備したスクランブラーモデルが、ドリームCL450です。1968年から海外で販売され、1970年から日本でも発売されました。エンジンは、K1型の45ps仕様をベースに低中速トルクを重視したチューニングが施され、最高出力は43ps/8,000rpmとされました。1974年に生産終了となりました。

まとめ

ドリームCB450シリーズは、ホンダの技術力を世界に示した歴史的なオートバイです。DOHCエンジンや数々の革新技術を搭載し、その高い性能と魅力的なデザインで多くのライダーを魅了しました。その後のホンダのオートバイ開発にも大きな影響を与えた、重要なモデルと言えるでしょう。 CB450シリーズは、日本のオートバイ史に燦然と輝く、伝説的な存在です。

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