ホンダ・CBX125

ホンダ CBX125：1980年代を彩った125ccバイク

1980年代前半、本田技研工業は125ccクラスのオートバイ市場において、CB125T（2気筒）とCB125JX（単気筒）という2つのモデルを展開していました。しかし、1984年、CB125JXの後継として登場したのが、CBX125です。このモデルは、スタイリッシュなデザインと革新的なエンジン技術を組み合わせた、当時としては画期的な存在でした。

CBX125は、ネイキッドタイプのCBX125Fと、アメリカンタイプのCBX125カスタムの2種類がラインナップされました。最大の特徴は、その心臓部であるJC11E型空冷4ストローク4バルブDOHC単気筒エンジンです。このエンジンは、CBX250RSやGB250クラブマン、XLX250Rなどにも搭載されたRFVC（放射状バルブ配置）技術を採用。サブロッカーアーム、センタープラグ、半球型燃焼室といった工夫により、燃焼効率と吸排気効率の大幅な向上を実現しました。

さらに、単気筒エンジンながら、低速から高速まで幅広い回転域で高い吸入効率と俊敏なレスポンスを実現するため、デュアルインテークキャブレター方式を採用。シリンダーの左右に配置された2つのキャブレターが、それぞれ異なる役割を担っていました。CBX125Fでは高回転高出力型、CBX125カスタムでは中低速トルク重視型というように、それぞれのモデルのキャラクターに合わせてチューニングが施された点も注目すべきです。

CBX125F：スポーティなネイキッドモデル

CBX125F（型式名：JC11）は、丸型ヘッドライトとセパレートハンドルを備えた、典型的なネイキッドスタイル。ロケットカウル、ブーメラン型のアルミ製コムスターホイール、6段マニュアルトランスミッション、2in1シングルエキゾーストマフラーといった装備が、スポーティな印象をさらに強調していました。

CBX125カスタム：個性的なアメリカンモデル

一方、CBX125カスタム（型式名：JC12）は、角型ヘッドライトとプルバックハンドルを採用したアメリカンスタイル。スポークホイール、5段マニュアルトランスミッション、左右独立のメッキ製ショートメガホンマフラーなど、CBX125Fとは異なる個性を備えていました。

モデル遍歴とマイナーチェンジ

CBX125は1984年4月に発売され、その後もマイナーチェンジを繰り返しながら、1996年まで販売されました。主な変更点は、カラーリング、マフラーの消音性能向上による燃費変更、エンジン特性の変更、操作系の見直し、バッテリーの変更など多岐に渡ります。特に1993年のマイナーチェンジでは、中低速域での走行性能を向上させるため、変速比とエンジン特性が変更され、最高出力が若干ダウンしました。このマイナーチェンジを境に、初期型と後期型に分けられることもあります。

1980年代の技術とデザインの融合

CBX125は、1980年代のホンダの技術とデザイン思想が凝縮されたモデルと言えるでしょう。当時としては先進的なエンジン技術と、個性的なスタイリングは、多くのライダーを魅了しました。1996年に生産が終了した後も、その独特の雰囲気と高い完成度から、現在でも根強い人気を誇るモデルとなっています。CBX125FとCBX125カスタム、それぞれのモデルが持つ魅力を改めて振り返ると、当時のバイクシーンの活況が感じられます。市場における競争の激しさや、技術革新のスピードを反映したモデルと言えるでしょう。

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