ホンダ・CM

ホンダCMシリーズとCB400LC：アメリカンバイクブームを彩った名車たち

ホンダがかつて製造・販売していたオートバイシリーズ「CM」は、1970年代後半から1980年代中盤にかけて人気を博したアメリカンタイプのバイクです。本記事では、CMシリーズの概要と、代表的なモデルであるCM125T、CM250T、CM400T、そしてそのモデルチェンジ車であるCB400LCについて詳細に解説します。

CMシリーズ：アメリカンスタイルへの挑戦

CMシリーズは、既存のCBシリーズやベンリイシリーズをベースに、アメリカンタイプのバイクとして開発されました。当時、アメリカンバイクは日本国内でも人気が高まっており、ホンダもその市場に参入しようとCMシリーズを投入しました。125cc、250cc、400ccの3車種がラインナップされ、それぞれが異なる魅力を持っていました。 大型バイククラスでは、CB650カスタムやCB750カスタムといった、CBシリーズにカスタムのペットネームを付帯させたモデルが販売されており、CMシリーズとは異なる展開がされていました。

個性豊かなモデルたち：CM125T、CM250T、CM400T

CM125T: 1978年に発売されたCMシリーズの最初のモデルです。ベースとなったのはベンリイCD125Tで、アメリカンスタイルにカスタムされた点が特徴です。プルバックハンドル、ロングシート、16インチ後輪、小型リヤキャリアなどが採用され、快適な走行を実現しました。1979年にはマイナーチェンジを行い、ヘッドライトの光量アップや吸排気系の変更によるトルク向上などが図られました。さらに1982年には、CUSTOMとMASTERの2タイプが追加され、電装系も12Vに変更、タコメーターも標準装備となりました。

CM250T: 1980年に発売。CB250Tをベースに、CM400Tと同様のアメリカンスタイルにカスタマイズされています。CM400Tとは異なり、ホイールはスポーク式、フロントブレーキはドラム式でした。発売後にはシングルシートに大型リアキャリアを備えたモデルも追加されました。1981年には250Tシリーズへのフルモデルチェンジに伴い製造中止となりました。

* CM400T: 1979年に発売されたCMシリーズの主力モデルです。CB400T(ホークII)をベースに、シート、後輪、ハンドルなどを変更することでアメリカンスタイルに仕上げられています。海外向けには排気量447ccのCM450も販売されました。また、オートマチックトランスミッション搭載のCM400A、CM450Aも存在しました。世界的にも人気の高いバイクで、1984年の映画「パープルレイン」でプリンスがCM400Tをカスタムしたバイクに乗車していたことでも知られています。

CB400LC：ラグジュアリーカスタムの象徴

CM400Tの後継モデルとして1982年に登場したCB400LCは、「Luxury Custom」の略称を持つモデルです。北米向け輸出モデルであるCB650SCとほぼ同様のボディを採用し、アップハンドル、改良されたエンジン、6速マニュアルトランスミッションなどを装備し、より洗練された走りを実現しました。海外向け輸出仕様はCM450と共通の447ccエンジンを搭載し、CB450SCとして販売されました。1984年に製造中止となりました。

CMシリーズの系譜と現代への影響

CMシリーズは1980年代中盤までに製造中止となりましたが、そのデザインやコンセプトは後のホンダのアメリカンタイプのバイクにも受け継がれています。現在も販売されているホンダのレブルシリーズなどにも、CMシリーズのデザイン的要素が見られると言えるでしょう。CMシリーズは、日本のバイク史において、アメリカンバイクブームを牽引した重要な存在でした。そのデザインと乗り味、そして独自の個性は、多くのライダーの記憶に刻まれています。

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