ホンダ・EV-neo

ホンダ EV-neo：企業・個人事業主向け電動スクーター

ホンダが2010年から2015年にかけて生産・販売していた電動スクーター、EV-neo。定格出力580Wのモーターを搭載し、日本の道路交通法における原動機付自転車（原付一種）に分類される小型の電動二輪車です。

先行モデルであるCUV ESは、主に官公庁や地方自治体へのリース販売に限られていましたが、EV-neoはそれとは異なり、企業や個人事業主を主なターゲットとしたリース販売専用車として発売されました。より幅広いユーザー層への普及を目指した戦略が見て取れます。

発売に先立ち、2010年12月には走行データの収集や車両のモニタリングを目的とした試験車両約100台が、複数の協力企業に納車されました。この実証実験データは、EV-neoの改良や、さらなる電動二輪車の開発に役立てられたと考えられます。その後、2011年4月より一般の企業や個人事業主向けのリース販売が本格的に開始されました。

EV-neoの大きな特徴の一つに、リース販売という販売形態が挙げられます。購入ではなくリース契約という形態をとることで、車両の維持管理や故障時の対応などが比較的容易になり、ユーザー側の負担を軽減する効果が期待できます。これは、電動二輪車という新しい技術に対するユーザーの不安を解消し、導入を促進するための戦略として有効だったと考えられます。

モデルバリエーションとしては、標準モデルのEV-neoに加え、フロントとリアにキャリアを装備したEV-neo PROが存在しました。ユーザーのニーズに合わせて、積載能力の高いモデルも用意することで、より幅広い用途に対応可能としていました。

2015年には生産が終了していますが、EV-neoはその後もレンタルバイクとして活用されているケースがあります。例えば、香川県豊島では、観光客向けのレンタルバイクとしてEV-neoが利用されており、電動二輪車の利便性を実感できる機会を提供しています。これは、環境に配慮した交通手段としての電動二輪車の可能性を示す好例と言えるでしょう。

EV-neoは、ホンダの電動二輪車開発における重要なステップとなりました。リース販売というビジネスモデルや、一般ユーザーへの展開、そして地方における活用事例などは、後続の電動二輪車の開発や普及に繋がる貴重な経験となったはずです。その後の電動スクーター市場の発展に、EV-neoが貢献したことは間違いありません。

主な遍歴:

2010年12月24日：モニター用車両100台をリース販売開始
2011年4月：一般企業・個人事業主向けリース販売開始
2015年：生産終了

参考文献:

ホンダ・プレスインフォメーション EV-neo
EV-neo (Hondaホームページ)
https://www.setouchi-karen.com/ (参考情報)

もう一度検索