ホンダ・MT50

ホンダMT50：軽快な走りと本格オフロードスタイルの原付バイク

ホンダが1979年から1982年まで製造販売していたMT50は、49ccの原動機付自転車です。若年層をターゲットに、本格的なオフロードバイクを思わせるデザインと、高い走破性を両立させたデュアルパーパスモデルとして人気を博しました。

力強い走り：MB50エンジンをベースに改良

MT50に搭載されたエンジンは、先行発売されていたMB50の空冷2ストローク単気筒エンジンをベースに改良されています。MB50よりも低回転域でのトルクを向上させ、街乗りからちょっとしたオフロード走行まで対応できる出力特性にチューニング。最高出力はMB50の7.0psから6.5psに若干ダウンしていますが、扱いやすさと実用性を重視した設計となっています。

抜群の走破性：ロングストロークサスペンションと大径タイヤ

MT50の大きな特徴として、その高い走破性があげられます。フロントサスペンションはテレスコピック式、リアサスペンションはスイングアーム式と一般的な構成ですが、ストローク量がそれぞれ130mmと120mmと、当時の原付バイクとしては非常に長く設定されています。さらに、タイヤサイズも前輪が2.50-19、後輪が3.00-16と、同クラスの他車と比較して大径化されています。これにより、悪路での走破性や安定性が向上し、MT50が本格的なオフロード走行にも対応できるモデルへと仕上がっています。

印象的なデザイン：本格オフロードスタイル

MT50は、そのスタイリングからも本格的なオフロードバイクを感じさせるデザインが特徴です。ロングストロークのサスペンションや大径タイヤは、デザイン面にも大きく貢献し、当時の若者たちの心を掴む、力強くスポーティな外観を演出しています。

モデル遍歴と歴史：MTX50への進化

1979年6月20日に発表、同月27日に発売されたMT50。標準現金価格は13万6千円、年間生産計画は輸出を含めて6万2千台と、ホンダの期待の高さがうかがえます。発売後、数度のマイナーチェンジを経て、1982年3月にはリヤサスペンションをモノショック化など、大幅な改良が加えられた後継モデルMTX50へとフルモデルチェンジされました。MT50は、わずか3年間という短い販売期間でしたが、多くのライダーに愛され、ホンダの歴史に名を残すモデルとなりました。

関連車種：ホンダのオフロードバイクの歴史

MT50は、ホンダのオフロードバイクの歴史において重要な位置を占めるモデルです。同じ50ccクラスでは、MB50などのモデルが存在し、さらに排気量の大きなエルシノアシリーズ(125cc、250cc)にもその系譜を見ることができます。MT50の車名にある「MT」は、このエルシノアシリーズのペットネームに由来していると言われています。MTXシリーズやラクーンといったモデルも、MT50の流れを汲む後継機と言えるでしょう。

まとめ：時代を彩った一台

MT50は、そのデザイン、走破性、そしてホンダの技術力の高さを凝縮した一台でした。短い販売期間ではありましたが、多くのライダーに愛され、現在でも多くのファンから高い人気を誇っています。当時を知る世代にとっては、青春時代を彩った一台として記憶に残るモデルと言えるでしょう。MT50は、ホンダのオフロードバイクの歴史、そして日本のバイク史において、重要な1ページを飾るモデルなのです。

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