ホンダ・NSR

ホンダNSRシリーズ：レーサーレプリカの系譜

ホンダNSRは、同社がかつて製造・販売していたオートバイシリーズの名称です。水冷2ストロークエンジンを搭載したレーサーレプリカとして知られ、1984年のロードレース世界選手権（WGP）専用モデルNSR500を皮切りに、様々な排気量のモデルがラインナップされました。本記事では、日本生産モデル、競技専用モデル、海外生産モデルに分け、NSRシリーズの魅力に迫ります。

日本生産モデル：NSR50/80/250R

国内で販売された公道走行可能なモデルとして、NSR50、NSR80、そしてNSR250Rがあります。

NSR50/80

1987年に登場したNSR50（49cc）とNSR80（79cc）は、兄弟車として設計されました。ツインチューブダイヤモンド型フレームや外装部品を共有し、レーサーレプリカブームの中で、当時人気を博していたスズキGAGやヤマハYSRに対抗するモデルとして開発されました。水冷エンジンを採用することで、空冷エンジンを搭載した競合他車に対し冷却性能で優位に立ちました。

両モデルは、NSR500を小型化したデザインが特徴で、フルカウルを装備したスポーティな外観が魅力でした。搭載エンジンは、AC08E型（NSR50）、HC08E型（NSR80）水冷単気筒2ストロークエンジンで、キックスターターのみの始動方式でした。1989年、1993年、1995年にはマイナーチェンジを行い、性能向上とデザイン変更が行われました。1997年にはホンダの2ストロークエンジン廃止方針により、1999年モデルをもって生産が終了しました。

NSR250R

1986年から1999年まで販売された250ccモデル。MC16、MC18、MC21、MC28の4つの型式が存在し、高い人気を誇りました。詳細については、別記事「ホンダNSR250R」を参照ください。

競技専用モデル

NSRシリーズには、公道走行を目的としない競技専用のモデルも存在しました。

NSR-mini

NSR50をベースに、ミニバイクレース参戦向けの競技用モデルです。保安部品は省略され、公道走行はできません。1995年モデルのNSR50をベースに、エンジンやサスペンション、ブレーキなどを強化。2009年に販売終了となりました。

NSR250/500/500V

ロードレース世界選手権や全日本ロードレース選手権で活躍したワークスマシンです。それぞれ、詳細については別記事を参照ください。

海外生産モデル：NSR75/125/150

ホンダの海外現地法人が、各国の法規に合わせて開発・製造したモデルです。

NSR75

スペインのモンテッサ・ホンダが製造した75ccモデル。日本国内では販売されませんでした。

NSR125

イタリアのホンダ・イタリア・インダストリアーレが製造した125ccモデル。フルカウルモデルのNSR125RとネイキッドモデルのNSR125Fが存在しました。JC20型とJC22型の2つの型式があり、イタリア製パーツを多く使用していました。

NSR150

タイのタイ・ホンダ・マニュファクチュアリング・カンパニーが製造した150ccモデル。NSR250をモチーフとしており、タイの法律により排気量が150ccに制限されました。日本国内では正規販売されていませんでしたが、並行輸入などで一部販売されていました。

まとめ

ホンダNSRシリーズは、その高い性能とレーサーレプリカとしての魅力で多くのライダーを魅了しました。様々な排気量とモデルバリエーションが存在し、それぞれが独自の進化を遂げました。2ストロークエンジンの時代を象徴する名車として、今もなお多くのファンから愛されています。

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