ホンダ・XE

ホンダXE/XLシリーズ：軽快な走りと進化の軌跡

ホンダは、1970年代後半に、50ccと75ccクラスのオフロードバイク市場にXEシリーズを投入しました。本記事では、XE50/75とその後継モデルと言えるXL50S/80Sについて、詳細に解説します。

XE50/75：クロスカントリー志向の原動機付自転車と小型自動二輪車

1976年2月、ホンダはスポーツバイクのラインナップ拡充を目指し、XE50とXE75を発売しました。これらのモデルは、同時期に発売されたトライアルモデルのTL50やロードモデルのCB50JX-Iと、エンジン設計や部品を共有する姉妹車でした。しかし、XEシリーズは原付二種（75cc）モデルもラインナップし、公道走行を前提としないエンデューロレーサーであるXR75のベースモデルにもなりました。

XE50/75は、CB50系と同様のショートストローク直列単気筒エンジンを搭載していましたが、XE50は低中速トルク重視のチューニングが施され、PW15キャブレターを採用していました。一方、XE75は排気量アップによるトルクの向上を活かすチューニングが特徴です。

XE50とXE75のエンジン出力は以下の通りです。

CB50: 6.3ps/10,500rpm、0.43kg-m/9,500rpm
XE50: 4.5ps/9,000rpm、0.37kg-m/8,000rpm
* XE75: 6.0ps/8,000rpm、0.57kg-m/6,000rpm

オフロード走行を意識した設計として、スキッドプレートやミドルアップマフラーが装備され、このクラスでは初となるトリップメーターも搭載されました。1978年にはマイナーチェンジを行い、5速ミッション化やフェンダーデザイン変更などが行われました。

XL50S/80S：XEシリーズからの進化

1980年、ホンダはXEシリーズを進化させたXL50SとXL80Sを発売しました。これは、フレームやサスペンションといった基本コンポーネンツはXEシリーズを踏襲しつつ、セッティング変更や車体の大型化などが行われたフルモデルチェンジと言えるでしょう。特にXL80Sは、排気量が74ccから79ccへとわずかに拡大されています。

また、1980年以降のホンダ製二輪車はアルファベット2文字と2桁数字の型式名が付けられるようになり、XL50SはAD03、XL80SはHD04という型式名となりました。XL50S/80Sは、2ストロークエンジンのMT50と併売されましたが、MTX50R/80Rの登場により、1983年に生産終了となりました。

まとめ：時代を彩った軽快なオフロードバイク

XE/XLシリーズは、ホンダの技術力の高さと、当時人気の高かったオフロードバイク市場への積極的な姿勢を示すモデルでした。軽量で扱いやすい車体、そしてオフロード走行も可能な高い走行性能は、多くのライダーを魅了したに違いありません。XEシリーズからXLシリーズへの発展は、ホンダが時代のニーズを的確に捉え、製品を進化させていったことを物語っています。これらのモデルは、日本のバイク史において重要な位置を占めていると言えるでしょう。

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