ホンダ・XLR

ホンダXLRシリーズ：オフロードバイクの系譜

ホンダがかつて製造・販売していたXLRは、デュアルパーパスモデルとして人気を博したモーターサイクルシリーズです。1985年のXLR250Rの登場を皮切りに、80cc、125cc、200ccモデルが加わり、多様なニーズに応えるラインナップを展開しました。本稿では、XLRシリーズの技術的特徴、モデルごとの歴史、そしてその魅力を詳細に解説します。

エンジンと機構：

全モデル共通の設計思想として、空冷4ストロークSOHC単気筒エンジンを採用。250ccモデルには、放射状に配置された4バルブのRFVCヘッドを搭載するなど、先進的な技術が投入されていました。トランスミッションは、80cc、125cc、200ccモデルが5速、250ccモデルが6速と、排気量に応じて最適化されていました。フレームは、80ccモデルがダイヤモンド型、それ以外のモデルがセミダブルクレードル型です。サスペンションは、フロントがテレスコピック式、リアがプロリンク式スイングアームと、オフロード走行にも対応できる高い走行性能を誇っていました。

XLR250Rと派生モデル：

XLRシリーズの主力モデルであるXLR250Rとその派生モデルであるXLR BAJAは、幾度のマイナーチェンジを経て進化を遂げました。

MD16型 (1985年)： XLX250Rの後継として登場。エンジンはXR350RDとXR250RFをベースに開発され、シングルキャブレター化、ショートストローク化などにより、最高出力28psを達成。軽量化も図られ、俊敏な走りを可能にしました。

MD20型 (1986年)： 低中速トルクの向上を図り、エンジンを改良。燃料タンクの容量を減らし、後輪サイズを18インチに変更。軽量化も継続されました。

MD22型 XLR BAJA (1987年)： エンデューロレース参戦を意識したモデル。オイルクーラー、シングルディスクブレーキ、大型ヘッドライトなどを標準装備。より過酷なオフロード走行に対応した仕様となっています。

MD20型とMD22型は、その後もマイナーチェンジを繰り返し、カラーリング変更やフロントフォークの改良などが実施されました。1995年には、XR250R/XR BAJAへとモデルチェンジされました。

XLR125RとXLR200R (1993年)：

XR200RGをベースとしたフレームに、125ccと200ccのエンジンを搭載したモデル。セルフスターターを採用し、扱いやすさを追求。XLR125RはNX125の後継モデルとして、XLR200Rは久々の200ccクラスモデルとして注目を集めました。ブレーキシステムも改良され、安全性の向上も図られています。XLR200Rは1997年にSL230にモデルチェンジ、XLR125Rは2000年まで生産されました。

XLR80R (1987年)：

初心者でも扱いやすい、コンパクトな80ccモデル。XL80Sを踏襲しつつ、最高出力を向上。XLR250Rと共通の外観デザインを採用するなど、シリーズとしての統一感も追求されました。CRM80の登場により、1987年限りで生産終了となりました。

陸上自衛隊への納入：

XLR250Rは、その高い走行性能と信頼性から、陸上自衛隊の偵察車両としても採用されました。

まとめ：

XLRシリーズは、ホンダのオフロードバイク技術の粋を集めたモデル群でした。それぞれの排気量に応じた個性、そして時代ごとの技術革新を反映した進化は、多くのライダーを魅了しました。その歴史と魅力は、現在でも多くのファンに語り継がれています。 現在では生産終了していますが、中古市場でも人気が高く、その高い信頼性と走破性を求めるライダーから支持されています。また、各モデルの個性的なデザインも、XLRシリーズの大きな魅力の一つと言えるでしょう。

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