ホンフサフラスコモ

ホンフサフラスコモ (Nitella pseudoflabellata)

ホンフサフラスコモは、シャジクモ目フラスコモ属に属する藻類の一種で、その学名はNitella pseudoflabellataです。この種は、しばしば基変種であるNitella pseudoflabellata var. pseudoflabellataと混同され、「ヒメフラスコモ」としても知られています。ホンフサフラスコモは、長さが10〜30cmで、皮層を持たず、小枝は通常2〜3回分枝します。最終的な枝の先端は円錐形で、雌雄同株という特性を持っています。

特徴

ホンフサフラスコモは淡緑色から鮮緑色をしており、全長は一般に10〜30cmです。特筆すべきは、不結実枝と結実枝の違いが不明瞭な点です。小枝は(1〜)2〜3(〜4)回分枝し、最初の分枝は小枝全体の長さの半分以上になります。その後、分枝は第2に5〜7本、第3に3〜5本、さらには4〜3〜4本、1本の最終枝には2細胞があり、円錐形の小型の先端細胞を持っています。

また、雌雄同株の構造を持ち、一般には小枝の第2または第3節に生殖器ができます。造精器は直径が180〜220µmで、生卵器は単生し370〜500×300〜370µmの大きさで、らせん数は7〜9本です。卵胞子は黄褐色から暗褐色で、270〜350×230〜270µmのサイズを持ち、卵胞子壁は細かい顆粒状の模様が確認できます。

分布と生態

ホンフサフラスコモは、南アジアから東アジア、さらには東南アジア、オーストラリア、ニュージーランドにかけて広く分布しています。そのタイプ産地はボルネオ島にあり、日本国内では本州、四国、九州で観察されています。この藻類は水深が浅い池や沼で見られることが多く、特に初夏から秋にかけて繁茂します。

保全状況評価

近年、日本では水質の悪化や農業の形態変化によりホンフサフラスコモが減少してきています。環境省のレッドリストでは、2025年現在、絶滅危惧II類に指定されていますが、過去には絶滅危惧I類として評価されていたこともあります。特に、山形県、栃木県、埼玉県、長野県、福井県、愛媛県では絶滅危惧I類に指定されており、千葉県では最重要・重要保護生物、広島県では準絶滅危惧、京都府では要注目種、宮崎県では情報不足とされています。

分類

ホンフサフラスコモは、形態的に似ているセイロンフラスコモ（Nitella megacarpa）と遺伝的にも非常に近縁です。セイロンフラスコモとの違いは、小枝の第2分射枝が中央分射枝よりも多く、卵胞子壁がより細かい顆粒状の特徴があります。

結論

ホンフサフラスコモは独特な生態を持っており、環境の変動による影響を受けやすい存在です。絶滅危惧II類に指定されていることから、その保護と管理が重要視されるべきです。

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