ホーキング青山

ホーキング青山：逆境を笑いに変えた異才の芸人

ホーキング青山（本名：青山世多加）は、1973年12月7日に東京都大田区で生まれ、2023年12月12日に50歳で生涯を閉じました。彼は、先天性多発性関節拘縮症という障害を持ち、両手両足が不自由な状態で生まれましたが、そのハンディキャップを逆手に取り、お笑いタレント、漫談家、作家として異彩を放ちました。

芸名の由来は、同じく身体に障害を持つ理論物理学者スティーヴン・ホーキングから。ビートたけしに心酔し、彼の番組や映画に出演するなど、親交も深めました。たけしからは高座名として「古今テー志んショー者」を命名され、後に自ら「古開院亭大麻（こかいんていたいま）」と改名し、落語にも挑戦しました。

独自のスタイルとメッセージ

ホーキング青山の芸風は、電動車いすに乗りながら、障害者に対する逆差別や、タブー視されがちなセックスや排泄といったテーマを、毒舌とブラックジョークを交えて語るというものでした。その過激なスタイルは賛否両論を呼びましたが、同時に多くの人々に、障害者の視点から社会を見つめ直すきっかけを与えました。

彼はまた、時事ネタや社会問題にも積極的に取り組み、その活動の幅を広げました。古典落語や講談にも挑戦し、車いす使用者が登場する新作落語や、古典落語の改作も手掛けました。バリアフリー論や介護問題など、福祉をテーマにした講演活動も積極的に行い、企業や自治体、学校など、様々な場所でそのメッセージを発信しました。

多才な活動と著作

ホーキング青山は、執筆活動にも力を注ぎ、自伝やエッセイなど、多数の著作を発表しました。ベストセラーとなった乙武洋匡の『五体不満足』に類似した内容があったことから、盗作疑惑を冗談交じりに示唆したこともありましたが、乙武自身も青山をリスペクトしており、その出版を喜んでいたとされています。主な著書に、『言語道断!―ホーキング青山自伝』、『笑え!五体不満足』、『差別をしよう!』、『考える障害者』などがあります。

2014年からは、YouTubeチャンネル「ホーキング青山チャンネル」で音声配信『週刊 ホーキング青山』をスタートさせ、2020年からは動画版も開始。毎週土曜日に更新され、多くのファンに親しまれました。

介護事業への取り組み

芸能活動の傍ら、ホーキング青山は、障害者の目線による理想の介護を目指し、2009年4月に『訪問介護事業所ENJOY』を設立しました。自らの経験を生かし、障害を持つ人々がより快適に、より自立した生活を送れるよう支援しました。

晩年と死

ホーキング青山は、2023年12月12日、東京都内の病院で50歳で亡くなりました。生涯独身でした。彼の訃報は、年が明けた2024年2月9日に、所属事務所からFacebookを通じて伝えられました。

ホーキング青山は、その短い生涯の中で、障害という困難を乗り越え、お笑いという世界で独自の地位を確立しました。彼の毒舌とユーモアに込められたメッセージは、これからも多くの人々の心に響き続けるでしょう。

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