ホール落語

ホール落語とは？

ホール落語とは、従来の寄席ではなく、劇場やホールで開催される落語会のことです。明確な定義はありませんが、一般的には複数の落語家が競演し、漫才や奇術などの演目は含まれません。寄席では省略されるような長尺の演目をじっくりと楽しめる点が大きな特徴です。1960年代以降、寄席の衰退にも関わらず盛況を続け、現在も多くのファンを魅了しています。

ホール落語の歴史と背景

ホール落語の起源は、明治時代以降、落語の質を維持しようとする動きに遡ります。戦前より、熱心なファンによる落語会が試みられ、戦後には本格的に発展しました。東京では特に、放送局による収録を目的としたホール落語会も長く続けられています。多くの熱心なファンと実力のある落語家たちの努力によって、ホール落語は発展を遂げました。戦後の高度経済成長期には、寄席が不振にあえいでも、ホール落語は多くの観客を集め続けました。

代表的なホール落語会

東京

東京では、歴史ある多くのホール落語会が開催されてきました。

三越落語会: 1953年から続く老舗の落語会。三越劇場を会場とし、伝統と格式を誇ります。(2020年3月より観客を入れての開催は中断中)
東京落語会: NHKなどが主催する落語会。首都圏各地を巡回し、多くの落語ファンに親しまれています。(2021年3月で月1回の開催を終了、現在は年数回無料公開収録番組として開催)
紀伊國屋寄席: 紀伊國屋ホールで開催される落語会。長年にわたり、質の高い落語を提供し続けています。
第五次落語研究会（TBS落語研究会）: TBSが主催する落語会。TBS専属の落語家を中心に、豪華なメンバーが勢揃いします。
にっかん飛切落語会: 日刊スポーツ新聞社主催の落語会。長きに渡り開催され、多くの名演を残しています。
朝日名人会: 朝日新聞社主催の落語会。一流の落語家による、質の高い落語を楽しむことができます。
朝日いつかは名人会: 朝日新聞社主催の落語会。
東横落語会: かつて東横ホールで開催されていた落語会。現在は中断中ですが、過去には多くの名演を支えました。
イイノ精選落語会: 1962年から1968年まで開催された落語会。
東西落語研鑽会: 2003年から2008年まで開催された落語会。

これらの落語会には、桂文楽、三遊亭圓生、柳家小さんといった、戦後を代表する落語家たちが多く出演していました。彼らの存在が、ホール落語の隆盛を支えたと言えるでしょう。

上方落語

上方落語においても、戦前から戦後にかけて、ABCやNHKなどが企画したホール落語会が開催されました。戦後、上方落語界にスターが不在だった時期には、これらのホール落語会が、上方落語の活性化に大きく貢献しました。
ABC上方落語をきく会: ABCラジオが主催。
NHK上方落語の会: NHKが主催。

チケット事情

ホール落語のチケットは、寄席とは異なり、ほとんどが前売り制です。当日券は非常に少なく、入手困難な場合も多いです。特に人気のある落語会では、チケットの入手が難しい傾向にあります。いくつかの落語会では、会員制や通し券制度を採用しているところもあります。

まとめ

ホール落語は、寄席とは異なる魅力を持つ、現代の落語文化を代表するイベントです。質の高い落語を堪能できる場として、今後も発展していくことが期待されます。様々な事情から、残念ながら終了した落語会も多くありますが、現在も多くのホール落語会が開催され、多くの人々を魅了し続けています。

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