ホ155-I

ホ155-I - 大日本帝国陸軍の航空機関砲

概要

ホ155-Iは、第二次世界大戦中に大日本帝国陸軍によって開発された航空用機関砲です。この武器は、昭和17年（1942年）末から名古屋陸軍造兵廠での設計が始まり、昭和18年（1943年）に新たに口径30mmの機関砲として試作されました。ホ155の開発は、当初の25mmの機関砲であるホ51が威力不足として中止されたことに端を発しています。

開発の経緯

I型とII型の二種類が試作されたホ155-Iで、I型は千種製造所が担当し、昭和18年5月に完成しました。審査は昭和19年5月に行われ、その後様々な機能試験が続きました。設計にはホ103およびホ5のブローニング様式が用いられており、反動による砲身の後座を用いた自動装填が特徴的です。しかし、資料によっては開発経緯や試作数に異なる記述が見られます。

GHQに提出された報告書では、中央工業研究所が研究に関与したと記載されています。この報告書ひとつを見ても、ホ155のI型、II型いずれも試作砲のテストが昭和19年2月から昭和20年6月まで行われたことが確認されています。機能試験の結果、尾栓のスライドガイドに強度不足があることが明らかになり、射撃中に破損する事例も多発しました。これに伴い、装填不良や空薬莢の排出不良といった欠点も報告され、これらは終戦まで改善されなかったと言われています。

生産と運用

ホ155の生産は戦局の悪化により、多くの変更がありました。昭和19年10月、名古屋陸軍造兵廠の熱田製造所でI型の量産が開始されましたが、その直後にII型の量産への転換を理由に生産ラインが停止。以降、より大型の口径37mmや57mmの航空機関砲にシフトすることとなりました。同年中のI型の生産は120門で終わりました。

しかし、昭和19年12月に陸軍上層部は再度I型の量産を決定し、楠製造所で生産が行われることに。終戦時には未完成の砲身261門、尾栓337台、そして多くの部品が残されていたことが記録されており、名古屋陸軍造兵廠の資料によると、昭和20年中のホ155の生産数は合計336門でした。最終的にはI型とII型合わせて約1,200門が製造されたとされていますが、資料によってその数には大きな相違が見られます。今のところ、日本国内にはホ155は現存していないと言われています。

弾薬と搭載機

ホ155に使用された弾薬は1型・2型で共通しており、従来の20mm機関砲よりも弾薬が大きくなりました。弾丸の重量は235g、全備弾薬筒の質量は520gであるため、搭載される機体への負担も考慮されています。予定されていた搭載機としては、キ83、キ102丙、キ87、キ94などが挙げられており、これらの機体にはそれぞれ2門ずつ搭載を計画されていました。

参考

ホ155-Iは、陸軍の航空戦力を支える重要な役割を持っていましたが、その生産過程と運用には多くの課題が存在しました。関連文献としては国本康文の「三〇ミリ固定機銃」や「陸海軍試作戦闘機」などが参考になるでしょう。

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