ボイラー整備士

ボイラー整備士とは

ボイラー整備士は、労働安全衛生法によって定められた国家資格であり、ボイラーの安全な運用を支える重要な役割を担っています。この資格を持つ者は、ボイラーの整備に関する専門的な知識と技能を有していると認められ、法律で定められた一定のボイラーの整備作業を行うことが許可されます。

概要

労働安全衛生法第61条では、事業者が特定の業務を、免許を持つ者や技能講習を修了した者などの有資格者に限定しています。ボイラー整備は、この就業制限の対象となる業務の一つであり、労働安全衛生法施行令第20条第5号で「ボイラー（小型ボイラー及び小規模ボイラーを除く）又は第一種圧力容器の整備の業務」が規定されています。この業務を行うには、労働安全衛生規則によりボイラー整備士免許が必要とされています。

対象となるボイラー

整備対象となるボイラーは、小型ボイラーと小規模ボイラーを除くボイラーです。これらのボイラーは、その構造や規模から、より高度な専門知識と技術が求められます。

小型ボイラー

小型ボイラーは、労働安全衛生法施行令第1条第4号で定義されており、具体的には以下のものが該当します。

ゲージ圧力0.1MPa以下で使用する蒸気ボイラーで、伝熱面積が1㎡以下のもの、または胴の内径が300mm以下で、かつその長さが600mm以下のもの
伝熱面積が3.5㎡以下の蒸気ボイラーで、大気に開放した内径が25mm以上の蒸気管を取り付けたもの、またはゲージ圧力0.05MPa以下で、かつ内径が25mm以上のU形立管を蒸気部に取り付けたもの
ゲージ圧力0.1MPa以下の温水ボイラーで、伝熱面積が8㎡以下のもの
ゲージ圧力0.2MPa以下の温水ボイラーで、伝熱面積が2㎡以下のもの
ゲージ圧力1MPa以下で使用する貫流ボイラー（管寄せの内径が150mmを超える多管式のものを除く）で、伝熱面積が10㎡以下のもの（気水分離器を有するものにあっては、当該気水分離器の内径が300mm以下で、かつその内容積が0.07㎥以下のものに限る。）

小規模ボイラー

小規模ボイラーは、労働安全衛生法施行令第20条第5号で定義されており、具体的には以下のものが該当します。

胴の内径が750mm以下で、かつその長さが1300mm以下の蒸気ボイラー
伝熱面積が3㎡以下の蒸気ボイラー
伝熱面積が14㎡以下の温水ボイラー
伝熱面積が30㎡以下の貫流ボイラー（気水分離器を有するものにあっては、当該気水分離器の内径が400mm以下で、かつその内容積が0.4㎥以下のものに限る。）

ボイラー技士・ボイラー溶接士との関係

ボイラー技士とボイラー整備士は、それぞれ異なる専門性を持つ資格です。ボイラー技士はボイラーの運転・管理を、ボイラー整備士はボイラーの整備を専門としています。たとえ特級ボイラー技士の資格を持っていても、ボイラー整備士の免許がなければ、整備作業を単独で行うことはできません。また、溶接作業を伴う場合は、ボイラー溶接士の資格も必要となります。

免許交付要件

ボイラー整備士の免許を取得するには、まずボイラー整備士免許試験に合格する必要があります。その上で、以下のいずれかの要件を満たす満18歳以上の者が、東京労働局長に申請することで免許が交付されます。

1. ボイラー（小規模ボイラー及び小型ボイラーを除く）または第一種圧力容器（小規模第一種圧力容器及び小型圧力容器を除く）の整備の補助業務に6ヶ月以上従事した経験を持つ者
2. 自己の取り扱うボイラーまたは第一種圧力容器の整備の補助業務に3年以上従事した経験を持つ者（取り扱い1年につき2ヶ月整備の補助業務に従事したものとみなす）
3. 小規模ボイラーまたは小規模第一種圧力容器の整備業務に6ヶ月以上従事した経験を持つ者
4. 自己の取り扱う小規模ボイラーまたは小規模第一種圧力容器の整備に3年以上従事した経験を持つ者（取り扱い1年につき2ヶ月従事したものとみなす）
5. 職業訓練のうち、整備管理・運転系のボイラー運転科を修了した者
6. 専修訓練のうち、ボイラー運転科を修了した者

免許試験

ボイラー整備士免許試験は、厚生労働大臣が指定する試験機関である公益財団法人安全衛生技術試験協会によって実施されます。

試験日程と場所

試験は年に3回（5月、10月、2月頃）、全国の安全衛生技術センターで行われます。

試験科目

試験は学科のみで、実技試験はありません。試験科目は以下の4つです。

1. ボイラー及び第一種圧力容器に関する知識（10問）
2. ボイラー及び第一種圧力容器の整備の作業に関する知識（10問）
3. ボイラー及び第一種圧力容器の整備の作業に使用する器材、薬品等に関する知識（5問）
4. 関係法令（5問）

試験時間

試験時間は4科目合わせて150分です。ただし、二級ボイラー技士免許所持者など、一定の条件を満たす者は、1科目が免除され、試験時間は100分となります。

合格基準

合格基準は、各科目で40%以上、かつ合計で60%以上の得点が必要です。科目免除の場合は、免除された科目の配点を除いて計算されます。

受験資格

受験資格は特に定められておらず、誰でも受験可能です。

脚注

外部リンク

公益財団法人安全衛生技術試験協会
* 一般社団法人日本ボイラ整備据付協会


この情報は、ボイラー整備士の資格取得を目指す方や、ボイラー整備に関する知識を深めたい方にとって、有益な情報源となることを願っています。

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