ボイン川の戦い

ボイン川の戦い：歴史的な一戦の詳細

概要

ボイン川の戦い（英: Battle of the Boyne）は、1690年7月1日（ユリウス暦、グレゴリオ暦では7月12日）に発生した戦いで、この戦闘はイングランド・オランダ連合軍を率いるウィリアム3世と、退位したジェームズ2世の指揮するアイルランド軍との間でのものです。戦場はアイルランドのボイン川の岸辺で、イングランド軍の兵力は36,000人、アイルランド軍は25,000人とされています。最終的にウィリアム3世が勝利し、イングランド王位の保持が確定しました。

戦闘までの経緯

1688年の名誉革命を契機に、ジェームズ2世は王位から追放されました。彼はフランスのルイ14世の庇護を受けながら亡命しました。一方、オランダ総督ウィリアム3世が王位を引き継ぎ、メアリー2世と共に共同統治を始めました。この新政権を支持しない者たち、特にスコットランドのジャコバイトは抵抗を続けており、アイルランドでも同様の動きがありました。特に予定していた反乱が続く中で、ジェームズ2世の支援によりアイルランドにも影響が及ぶこととなります。

フランス王の支援を受けたジェームズ2世は、アイルランドへの侵攻を開始しウィリアマイト戦争が勃発しました。アイルランドの大部分はジャコバイトによって制圧され、ウィリアマイト軍は限定的な抵抗を続けざるを得ませんでしたが、状況は1690年初めになって変わります。ウィリアム3世は自らアイルランドに出向く決断を下し、6月にイングランドを出発。7月1日、ボイン川での戦闘に至りました。

戦闘の経過

ボイン川を挟んで、ジャコバイト軍が南岸に、ウィリアム3世の軍は北岸に布陣しました。両軍の力量に差はあったものの、戦闘はすぐには始まらず、ウィリアム3世は敵の動きを研究した後、渡河作戦を計画しました。前夜、ウィリアム3世が敵陣を視察中に軽傷を負ったものの、彼の逆境を乗り越える強固な意思が伝わりました。

7月1日早朝、ウィリアム3世は、一部の兵士を指揮官メイナード・ションバーグに託し、右翼からの奇襲攻撃を命じました。メイナードは見事にロスナリーに兵を進め、渡河に成功します。その間、ジェームズ2世は軍を動かそうとするも沼地に阻まれ、時を無駄にしてしまいます。これにより、ウィリアム3世の軍が優位に立ち、渡河を果たすことができました。このような混乱のなか、戦闘はさらに激化し、両軍は次第に接敵していきました。

ティアコネルが指揮するジャコバイト軍は、早くも戦局不利に陥り、特にウィリアム3世が右翼を攻撃することで劣勢が決定的となりました。最終的に、午後2時過ぎにティアコネルから撤退命令が出され、ジャコバイト軍はダブリンへと退却しました。この日の損害は、ジャコバイト軍が1,500人以下、ウィリアム3世軍は750人以下でした。

戦闘後の影響

戦闘の結果、ジェームズ2世はダブリンを後にし、フランスへ逃れることとなります。ウィリアム3世はダブリンに入城し、東部のジャコバイト勢力を確実に平定しました。その後、彼はオランダの将軍ゴダード・ドゥ・ギンケルにアイルランドの指揮を任せ、イングランドに帰国しました。

この勝利によって、ウィリアム3世は後の大同盟戦争に臨む姿勢を強化しました。ボイン川の戦いは、イングランドにおける権力の移動を示す重要な一戦として、歴史に名を刻みました。

参考文献

• - 友清理士『イギリス革命史（下）』研究社, 2004年。

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