ボクサー (サイモン&ガーファンクルの曲)

サイモン&ガーファンクル「ボクサー」解説

「ボクサー」（原題：The Boxer）は、サイモン&ガーファンクルが1969年に発表した楽曲で、彼らの代表作の一つとして知られています。ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500（2010年版）では106位にランクインするなど、音楽史に残る名曲として評価されています。

概要

1969年3月21日にシングルとしてリリースされた「ボクサー」のB面には「ベイビー・ドライバー」が収録されました。この曲の制作には100時間以上もの時間が費やされ、ナッシュビルとニューヨークのコロムビア・レコードのスタジオでレコーディングが行われました。また、ボーカルの一部はニューヨークのセント・ポール教会で録音されています。バス・ハーモニカはチャーリー・マッコイが演奏しました。

「ボクサー」は、1969年5月17日付のビルボードHot 100で7位を記録し、1970年1月26日発売のアルバム『明日に架ける橋』にも収録されました。

ボブ・ディランとの関連性

この曲は、ボブ・ディランに対する当てこすりではないかという説がありますが、ポール・サイモン自身はこれを否定しています。しかし、ボブ・ディランは1970年6月に発表したアルバム『セルフ・ポートレイト』で「ボクサー」をカバーしており、多重録音によるハーモニーも取り入れています。ただし、ディラン自身はこのカバーの意図についてコメントしていません。

ライブ演奏

サイモンは1974年のライブ・アルバム『ライヴ・ライミン』にもこの曲を収録しています。2020年には、新型コロナウイルスのパンデミックにより各国で外出禁止措置が取られる中、サイモンは自宅で撮影したライブ演奏を配信し始めました。3月31日には「ニューヨークの人々に捧げます」と述べて「ボクサー」を演奏し、多くの人々に感動を与えました。

失われた歌詞

「ボクサー」には、スタジオ・バージョンには含まれていない「失われた歌詞」と呼ばれるパートが存在します。この歌詞は、1969年11月のツアー（『ライヴ1969』収録）や、1973年～74年のポールのソロ・ツアー（『ライヴ・ライミン』収録）、1981年のセントラル・パーク・コンサートなどで披露されており、作詞段階から存在していたと考えられています。

日本の歌への影響

「ボクサー」は、1970年代の日本のフォークソングに大きな影響を与えました。例えば、吉田拓郎の「結婚しようよ」や山本コウタローとウィークエンドの「岬めぐり」などが挙げられます。特にかぐや姫の「赤ちょうちん」は、「ボクサー」のギターの16分音符アルペジオ、ベースドラムのリズム、そして「lie la lie...」の部分の深い残響が付いたドラム音を模倣しており、その影響が顕著に表れています。

カバー

1993年には、ヴィーナス・ペーターがアルバム『BIG "SAD" TABLE』で「ボクサー」をカバーしました。

「ボクサー」は、時代を超えて愛される名曲として、これからも多くの人々に感動を与え続けるでしょう。

もう一度検索