ボシレグラード

ボシレグラード（Босилеград / Bosilegrad）

ボシレグラード（ブルガリア語での表記はБосилеград）は、セルビアの南東部に位置し、隣国ブルガリアとの国境に近いプチニャ郡に属する町であり、その周辺地域を含む基礎自治体を構成しています。自治体の総面積は約571平方キロメートルに及びます。この地域は、地理的に国境地帯にあることから、歴史的に多くの変遷を経験してきました。

人口と民族構成

ボシレグラード自治体における人口および民族構成は、過去の国勢調査からその特徴を把握できます。1991年に実施された国勢調査では、自治体の総人口は11,644人であり、この時点ですでにブルガリア系住民が人口の多数派を形成していました。その後の2002年の国勢調査では、総人口は9,931人へと減少しました。この調査の詳細な民族別の内訳を見ると、ブルガリア系住民が7,079人（全体の70.91%）を占め、セルビア系住民が1,308人（全体の13.17%）となっており、その他の民族グループが少数を占めていました。これらのデータは、ボシレグラードが現在もブルガリア系住民が主要な民族グループである多民族地域であることを示しています。

歴史的背景

ボシレグラードの歴史は、特に第一次世界大戦後の領土変更に深く関わっています。1919年に連合国とブルガリア王国との間で調印されたヌイイ条約により、敗戦国となったブルガリアは、国境地帯の一部をセルビア王国へ割譲することとなりました。この時、ボシレグラードもまた、ブルガリア領からセルビア領へとその帰属を変更されました。

セルビア王国が後にユーゴスラビア王国へと改組された後の戦間期、具体的には1920年から1941年までの期間、ユーゴスラビア当局はボシレグラードとその周辺地域の住民に対し、セルビア人としての同化政策を推し進めました。この政策の下、住民はブルガリア語による教育を受ける機会や、教会での儀式をブルガリア語で行う権利といった、彼らの民族的なアイデンティティや文化を守るための基本的権利が制限される厳しい状況に置かれました。

このような状況に対して、ボシレグラードを含む地域のブルガリア系住民からは抵抗の動きが生まれました。彼らは「内部西方失地革命組織」といった組織を結成し、ユーゴスラビア当局の同化政策や権利制限に対する抵抗活動を続けました。

第二次世界大戦の終結後、情勢は変化しました。戦後の体制下で、ボシレグラードを含む地域のブルガリア系住民の民族的権利が以前よりも広く認められるようになり、戦間期のような露骨な同化政策は影を潜めました。

現在の地域状況

歴史的な背景に加え、ボシレグラードは現在も経済的な課題を抱えています。この地域は、セルビア国内の他の地域と比較して経済開発が遅れている傾向が続いており、産業基盤が弱く、雇用機会が限られているため、高い失業率に直面しています。このような状況は、地域住民の生活にも影響を与えています。

ボシレグラードは、ブルガリアとの国境地帯に位置し、複雑な歴史的経緯と多民族構成、そして経済的な課題を内包したセルビアの基礎自治体の一つとして存在しています。

関連項目

ディミトロヴグラード
西方失地

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