ボストン・ガーデン

ボストン・ガーデン：伝説が息づく場所

ボストン・ガーデンは、マサチューセッツ州ボストンに存在した、スポーツファンにとって特別な場所でした。1928年にボクシングプロモーターのテックス・リカードによって建設され、当初は「ボストン・マディソン・スクエア・ガーデン」と呼ばれていました。60年以上にわたり、ボストン・セルティックスとボストン・ブルーインズの本拠地として、数々のドラマを生み出してきました。

歴史

ボストン・ガーデンは、スポーツイベントだけでなく、ロックコンサート、アマチュア競技、サーカス、アイスショーなど、多岐にわたるイベントの会場としても利用されました。政治的なイベントも開催され、1960年にはジョン・F・ケネディが大統領選勝利後に演説を行っています。

1995年に閉鎖され、1997年に取り壊されました。老朽化が主な理由でしたが、その独特の雰囲気と数々の伝説は、今もなお語り継がれています。跡地には、新たなスポーツ施設であるフリートセンター（現TDガーデン）が建設されました。

特徴

ボストン・ガーデンの最大の特徴は、大恐慌時代に建設費を削減するために廃材を利用した寄木細工の床でした。この床はでこぼこで、ボールのバウンドが予測不可能になることが多く、セルティックスの選手たちは、この特性を「地の利」として利用しました。

また、ロッカールームが狭く、老朽化していることも特徴でした。空調やシャワーが故障することも珍しくなく、アウェイチームにとっては不快な環境でした。しかし、セルティックスはそのような環境を逆手に取り、相手を精神的に追い込む戦略をとっていました。

名勝負と伝説

ボストン・ガーデンを有名にしたのは、ボストン・セルティックスが1960年代にNBA8連覇を達成したこと、そして1980年代にマジック・ジョンソン率いるロサンゼルス・レイカーズとラリー・バード率いるボストン・セルティックスが繰り広げた激しい対戦です。

老朽化した施設は、セルティックスにとって有利に働きました。特に、寄木細工のフロアは、イレギュラーバウンドが多く、相手チームを困惑させました。また、1984年のNBAファイナル第5戦では、ボストンが異常な猛暑に見舞われ、空調設備の整っていないガーデン内は42度を超える暑さとなりました。この暑さのため、レイカーズの選手たちは精彩を欠き、セルティックスが勝利しました。

こうした数々の出来事が、「ボストン・ガーデンの魔物」という伝説を生み出しました。ホームでのセルティックスは非常に強く、プレーオフの最終戦での敗北はわずか2回しかありませんでした。NBAファイナルの第7戦では、一度も負けたことがありませんでした。

終焉と遺産

「ボストン・ガーデンの魔物」も、マジック・ジョンソン率いるロサンゼルス・レイカーズによって打ち破られました。1985年のNBAファイナルで、レイカーズはボストン・ガーデンで初めて敵地優勝を果たしました。

その後、セルティックスは1986年に優勝しますが、これがボストン・ガーデン最後の優勝となりました。建物の老朽化が進み、設備も他アリーナに見劣りするようになったため、1995年に取り壊されました。

ボストン・ガーデンの跡地に建てられたTDガーデンには、セルティックスの数々の優勝旗や永久欠番選手のバナーが飾られています。かつてのボストン・ガーデンのように、すべてのバナーを飾るスペースがなくなったため、簡略化されたバナーが使用されています。ボストン・ガーデンはなくなりましたが、その伝説とスピリットは、TDガーデンに引き継がれています。

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