ボビー・ゴールズボロ

ボビー・ゴールズボロ（Bobby Goldsboro）は、1941年1月18日にアメリカ合衆国フロリダ州マリアンナで生を受けた、多才なポップ/カントリー系のシンガーソングライターです。1960年代から1970年代にかけて、数々のヒット曲を世に送り出し、音楽界で確固たる地位を築きました。

幼少期にアラバマ州ドーサンへ転居したゴールズボロは、1959年にドーサン高校を卒業。その後オーバーン大学に進学しますが、2年で大学を離れ、音楽の世界へと足を踏み入れました。キャリアの初期には、1962年から1964年にかけて、偉大なミュージシャンであるロイ・オービソンのバックギタリストとして経験を積んでいます。

ソロキャリアは、1962年にローリー・レコードからリリースしたシングル「Molly」でスタートし、全米70位を記録しました。1963年にはユナイテッド・アーティスツと契約。彼のソロアーティストとしてのブレイクスルーとなったのは、1964年初頭に全米チャートで最高9位を記録した自作曲「See the Funny Little Clown（ひとりぼっちのクラウン）」です。この楽曲はミリオンセラーとなり、彼にとって初のゴールドディスク獲得となりました。以降も、立て続けにゴールドディスクを獲得し、その人気を確かなものにしていきます。彼はBillboard Hot 100で16曲をトップ40圏内に、カントリー・チャートでも12曲をランクインさせる成功を収めました。

1966年には「It's Too Late」とB面曲「Too Many People」を録音。ダンスナンバーは彼の得意とするスタイルではありませんでしたが、これらの楽曲はイギリスのノーザン・ソウルシーンにおいて人気を集め、愛聴されました。

ゴールズボロのキャリアにおいて最も成功した楽曲は、1968年に発表されたシングル「Honey」です。ボビー・ラッセルが作詞したこの感傷的なバラードは、若くして亡くなった妻を偲ぶ内容で、わずか1テイクで録音されたという逸話があります。この曲は1968年の年間ベストセラーとなり、Billboard Hot 100では5週間にわたり首位を独占。イギリスのシングルチャートでも1968年と1975年の2度、最高2位に達し、オーストラリアでもチャートの頂点を極めるなど、世界的な大ヒットとなりました。

「Honey」以外にも、マック・ディヴィス作で1970年から71年にかけて全米11位を記録した「Watching Scotty grow（いとしのスコット）」、1973年にアメリカでトップ20、イギリスで9位となった「Summer (The First Time)（思い出のサマータイム）」、そして続く1974年にイギリスで14位を記録した「Hello Summertime」など、数々のヒット曲を放っています。

音楽活動に加え、ゴールズボロは他の分野でも才能を発揮しました。1973年から1975年には、シンジケート方式で配信された自身のバラエティ番組『The Bobby Goldsboro Show』でホストを務め、人気を博しました。また、自身が手掛けた楽曲「With Pen in Hand（ウィズ・ペン・イン・ハンド）」は、ヴィッキー・カーやジョニー・ダレルといった他のアーティストによってカバーされ、特にジョニー・ダレルによるバージョンは1968年にカントリー・チャートで首位を獲得するなど成功を収めています。

1977年にはエピック・レコードに移籍。彼の楽曲「The Cowboy and the Lady」も、ブレンダ・リー、ドリー・パートン、ジョン・デンバーらによってカバーされ、それぞれヒットに至っています。

1990年代には、CBSのシットコム『Evening Shade』で音楽を作曲・監修しました。さらに1995年には、全52話の子供向け番組『The Swamp Critters of Lost Lagoon』を自身で企画・制作。この番組では、全キャラクターの声優、脚本、音楽演奏の全てを一人で担当するという意欲的な取り組みを行いました。

ミュージシャンとしての顔だけでなく、ボビー・ゴールズボロは油絵画家としても活動しており、その多才ぶりを発揮しています。1968年10月には、プロモーションのために日本を訪れたこともあります。

ボビー・ゴールズボロは、その豊かな音楽性と多様な才能で、今なお多くの人々に記憶されています。

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