ボビー・リー

ボビー・リー（Bobby Lee, 1971-）は、韓国系アメリカ人のコメディアン、俳優、そしてポッドキャスターとして、多岐にわたる分野で活躍しています。

生い立ちとキャリアの始まり

1971年、カリフォルニア州サンディエゴ郡ポーウェイで、韓国からの移民である両親のもとに生まれました。幼少期からコメディに興味を持ち、サンディエゴのパロマー大学に通いながらアルバイトをし、スタンダップコメディの腕を磨きました。大学を中退後、1994年にアマチュアスタンダップコメディの舞台に立ち、本格的にコメディアンとしての道を歩み始めました。

舞台経験を積んでいく中で、彼の才能はすぐにカルロス・メンシアの目に留まり、ロサンゼルスのコメディクラブで前座を務める機会を得ました。そして2001年には、人気コメディ番組「マッドTV！」のシーズン7に、アジア系として初めてキャストに加わり、その名を広く知られるようになりました。

家族との確執と和解

両親は、ボビーに家業の衣料品店を継がせたいと考えていたため、彼がコメディアンを目指すことに反対し、一時は疎遠になっていました。しかし、2002年にボビーが「ザ・トゥナイトショー・ウィズ・ジェイ・レノ」に出演した際、父親は数年ぶりに彼に電話をし、今まで応援しなかったことを謝罪しました。この出来事は、ボビーにとって大きな転換点となり、家族との絆を再確認するきっかけとなりました。

ポッドキャストでの活躍

2015年、ボビーは自身のポッドキャスト番組「TigerBelly Podcast」を開始しました。この番組は、主にアジア系アメリカ人をテーマにしたトーク番組で、40万人を超える登録者数を誇る人気番組となっています。さらに2020年には、俳優でありコメディアンでもあるアンドリュー・サンティーノと共同で「バッドフレンズ・ポッドキャスト」をスタートさせ、こちらも人気を博しています。

俳優としての活動

ボビーは、俳優としても数々の作品に出演しており、2018年には「私立探偵マグナム」でジン役として準レギュラーを獲得しました。その他、様々なテレビ番組や映画にも出演し、その独特な存在感を発揮しています。

薬物依存との闘い

ボビーの人生は、決して平坦なものではありませんでした。12歳頃からマリファナやスピード、15歳でヘロインに手を出し、17歳になるまでに3回の薬物依存症リハビリを経験しています。「マッドTV！」出演中には、プロデューサーからコメディアンとしての資質がないと辛辣な言葉を浴びせられ、そのストレスからバイコディンに再び手を染めてしまいました。2019年には、父親がパーキンソン病で亡くなった際には、アルコール依存症に陥り、2年間治療を続けました。

彼は自らを『私のスタンダップコメディを見たらクレイジーなやつだと思うでしょう。でも本当は蝋燭を灯して一人でラフマニノフを聴くような寂しい人間です』と表現しており、その内面の複雑さを垣間見ることができます。

社会貢献活動

ボビーは、様々なチャリティイベントにも積極的に参加しており、仲間と集めた募金総額は300万ドルに及ぶそうです。2013年には、第9回ミュージケアーズのホストを務めました。また、弟のスティーブ・リーもミュージシャン、コメディアンとして活躍しており、兄弟でエンターテイメントの世界で活躍しています。

ボビー・リーは、コメディアンとしてだけでなく、一人の人間としても、多くの困難を乗り越えてきた人物です。彼の人生は、ユーモアと人間味、そして強さにあふれています。今後も、彼の活躍から目が離せません。

もう一度検索