ボルサリーノ (映画)

ボルサリーノ

『ボルサリーノ』（原題：Borsalino）は、1970年に公開されたフランスとイタリアの共同制作による犯罪映画です。この作品は、ウジェーヌ・サッコマーノの原作『Bandits à Marseille』をもとに脚本が作成され、ジャック・ドレーが監督を務めました。主演には、当時フランスで人気絶頂にあったジャン=ポール・ベルモンドとアラン・ドロンが迎えられ、彼らの絶妙な演技が魅力となっています。物語は1930年代のマルセイユの裏社会で、2人の若者が力を合わせながら成り上がりを目指す過程を描いています。

ストーリー概要

1930年、マルセイユ。若きチンピラのロッコ・シフレディが刑務所から出てきます。彼は恋人のローラを探しに行き、キャバレーのオーナーに会いますが、その人物はロッコを裏切り、彼を刑務所送りにした張本人だと確信します。怒ったロッコは、そのキャバレーに火を放ち、事件を引き起こします。ロッコは後に恋人を見つけますが、彼女は他のペテン師、フランソワ・カペラと関係を持っていました。最初は殴り合いを繰り広げた二人は、やがて友人となり、共に裏社会での冒険を開始します。

彼らは、マルセイユの悪徳商人たちを排除する中で両者の力を結集し、街を征服することを決心します。食肉業者のポーリや地下カジノのオーナー、マレーロといったゴッドファーザーたちと渡り合うことで、彼らは勢力を拡大していきます。しかし、計画は裏切りによって失敗し、危険にさらされることに。そこで二人は田舎に逃れ、新しい仲間を集め、復讐する機会をうかがいます。

再びマルセイユに戻ったロッコはポーリを機関銃で襲撃し、暗黒街での地位を確立します。しかし、マレーロにおいても裏工作が進行しており、複雑な状況に直面します。やがて、カペラはロッコに対する不信感を抱き、彼はマルセイユを離れる決意をするが、不幸にもその直後、何者かに銃撃され命を落とします。物語は、シフレディの運命がどうなるのかを曖昧にし、終焉を迎えます。

製作背景

本作の企画は1968年8月、アラン・ドロンとジャック・ドレーの会話から始まりました。ドロンはエウジェーヌ・サッコマーノの原作に魅了され、ジャン=ポール・ベルモンドとの共演を望んでいました。当初、脚本は苦労の末に仕上がり、両者の強力なビジョンと意見の交換を経て、最終的に映画化される運びとなります。しかし、撮影段階では、予算の削減や脅迫といった困難な状況にも見舞われました。

撮影及び評価

撮影は1969年9月に開始され、当時の街並みを再現するために多くの努力が費やされました。彼らのスタントシーンや俳優同士の化学反応は、観客を魅了し続けました。

映画は1970年に公開され、興行的にも成功を収め、特にフランス国内では471万人もの観客を動員しました。映画批評家からも評価を受け、この作品はその後続編を生む原動力ともなりました。『ボルサリーノ2』は1974年に続編として公開され、さらなる人気を集めました。

『ボルサリーノ』は、ただの犯罪映画ではなく、友情、裏切り、復讐をテーマにした深い物語が展開される映画として、今も多くの人々に愛されています。

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