ボールトンポール P.71A

ボールトンポール P.71Aは、1930年代にイギリスのボールトンポール社によって製造された双発の金属製複葉機です。この機体は、同社のP.64郵便機の後継機として開発されました。

P.64郵便機は、インペリアル航空の要求に応えて試作されたものの、高コストなどの理由から採用には至りませんでした。さらに試作機は事故により失われるという不運に見舞われました。この経験を踏まえ、より軽量で細身の胴体、そして全長を延長したP.71Aが新たに開発されました。

P.71Aには、アームストロング ジャガー IVA 空冷エンジンが搭載され、2機がインペリアル航空に納入されました。1935年から運用が開始されましたが、当初の目的であった郵便機としては使用されませんでした。その代わりに、座席を取り外すことで13席のVIP用旅客機として使用されるなど、柔軟な運用がなされました。しかし、運用期間は短く、1936年までに2機とも事故により失われました。

以下に各機の詳細な履歴を記載します。

G-ACOX
「Boadicea」と命名されました。
1936年9月25日、クレードンからパリへの郵便飛行中にドーバー海峡で墜落し、乗員2名が死亡しました。

G-ACOY
「Britomart」と命名されました。
1935年10月25日に着陸時の事故で修理不能の損傷を受けました。


P.71Aの主な仕様

全長: 13.47 m
全幅: 16.46 m
全高: 4.63 m
空虚重量: 2,772 kg
総重量: 4,318 kg
エンジン: 2 × アームストロング シドレー ジャガー VIA ラジアルエンジン, 490 hp
最高速度: 314 km/h
巡航速度: 242 km/h
巡航高度: 6,400 m
航続距離: 966 km


ボールトンポールP.71Aは、その短い運用期間の中で、郵便機から旅客機へと用途を変え、その独特の形状と歴史的な背景から、航空史における興味深い事例として記憶されています。

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