ボーン・イン・ザ・U.S.A.

ブルース・スプリングスティーン『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』

『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』は、1984年にブルース・スプリングスティーンが発表したアルバムであり、彼のキャリアにおける最大のヒット作の一つとして知られています。

アルバム概要

このアルバムは、ビルボードのヒットチャートで全米第1位を獲得し、84週連続でトップ10にランクインするという驚異的な記録を打ち立てました。タイトル曲である「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」は、ベトナム帰還兵の苦悩を描いたものでしたが、その大ヒットはスプリングスティーンの意図とは異なる解釈を生み出しました。

印象的なリフレインと力強い演奏から、この曲は愛国歌として受け止められ、共和党の大統領候補ロナルド・レーガンの再選キャンペーンに利用されそうになるなど、政治的な文脈でも注目を集めました。民主党のモンデール候補も同様にこの曲を使用しました。しかし、スプリングスティーン自身は熱心な民主党支持者として知られています。

アルバムの大ヒットは、スプリングスティーンを世界的なスターダムに押し上げましたが、同時に彼は巨大な名声との葛藤を強いられることになりました。1987年のアルバム『トンネル・オブ・ラヴ』以降、彼の作風はより内省的なものへと変化していきました。

しかし、1995年に発表された『ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード』では、アメリカの貧困層の現状や軍需産業について考察した楽曲が収録され、再び政治的な色合いを帯びるようになりました。その後のソロ・アコースティック・ツアーでは、「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」をアコースティック・ギターのボトルネック奏法でブルース風に演奏し、楽曲が本来持っていたメッセージをより直接的に伝える試みを行いました。このアレンジは、1982年のアルバム『ネブラスカ』制作時に作られた原曲に近いものでした。

2002年の『ザ・ライジング』ツアーでは、14年ぶりにフル・バンドスタイルで「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」が披露され、ファンを熱狂させました。

このアルバムは、2012年までに世界で3000万枚以上を売り上げており、音楽史に残る大成功を収めた作品として評価されています。

『ローリング・ストーン』誌が選んだ「歴代最高のアルバム500選」においては、142位にランクインしています。

収録曲

Side 1
1. Born In The U.S.A.
2. Cover Me
3. Darlington County
4. Working On The Highway
5. Downbound Train
6. I'm On Fire

Side 2
1. No Surrender
2. Bobby Jean
3. I'm Goin' Down
4. Glory Days
5. Dancing In The Dark
6. My Hometown

外部リンク

Born in the U.S.A.

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