ポシンタン

ポシンタン（補身湯）

ポシンタンは、犬の肉を主成分とするスープ料理で、特に韓国においてその存在感を示しています。この料理名は朝鮮語で「体に栄養を補うスープ」という意味を持ち、一般的には犬鍋とも呼ばれています。もともとの名称はケジャンクク（개장국）であり、ケは犬、ジャンククはすまし汁を指します。1980年代初頭に犬肉の食用が禁止されることを受け、ポシンタンという言葉が一般的に使用され始めました。ただし、これは当局を避けるための別名であり、北朝鮮では犬肉を「タンゴギ」（단고기）と呼ぶことが多いです。

韓国のポシンタンは通常、犬肉を野菜とともに煮込んだスープとして提供されます。特に、伏日という夏の特定の日に食べられることが多く、強壮料理として人気があります。これは犬焼酎とともに食され、動物性の栄養を摂る手段として位置づけられています。

しかし、この犬肉文化は海外からは理解されづらく、日本や欧米では犬肉を食べること自体が稀であるため、批判を受けることがあります。1988年のソウルオリンピックや2002年のFIFAワールドカップでは、韓国の犬肉文化が「野蛮」とされ、国際的な非難を浴びました。このため、ソウルオリンピックの前には犬肉の取り扱い禁止令が発令されましたが、犬料理店はそれに抵抗し、表看板を取り下げたり、別の料理名に変更して営業を続けました。その後、禁止令は形骸化し、2008年の時点ではソウル市内に約500軒の犬肉料理店が存在するとされました。

2000年代後半にわたって、韓国では年間200万頭から400万頭の犬肉が消費されています。犬肉が法律上の食肉から除外された1970年代以降も、犬肉の処理や流通に関する法的枠組みは欠如したままでしたが、2008年には衛生基準の制定が提案される見込みが立ちました。同時に動物愛護団体がこの動きを時代に逆行するとして強く反対しています。2020年2月の政府調査では、犬肉を提供する飲食店は国内に1600以上、食用犬を飼育する農場は1150以上確認されています。

さらに、2024年1月の報道によれば、これらの農場には少なくとも52万頭以上の犬が飼育されているとされています。犬肉食が禁じられた後、関連業者への金銭的補償が大きな問題になっています。ポシンタンを含む犬[[食文化]]は、韓国の食文化の一環として存在し続けていますが、時代の変化を受け、今後どう変わるかは注目が必要です。

犬泥棒問題と犬肉消費の背景

犬肉の需要が高い伏日の前には、全国で犬泥棒が多発する問題があります。特に全羅南道の井邑市周辺では、若いカップルを含む数人が飼い犬を盗み、食材として転売する事件が発覚しました。また、犬泥棒や犬を猟犬として利用するための犯罪も広がっています。

このように、ポシンタンや犬肉食は韓国における一大文化として存在していますが、国内外の意見や価値観の違いによって常に議論を呼んでいます。

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