ポスト京都議定書

ポスト京都議定書：地球温暖化対策の新たな挑戦

2005年に発効した京都議定書は、2008年から2012年までの第一約束期間、先進国の温室効果ガス排出量削減を目標とした国際的な枠組みでした。しかし、アメリカ合衆国の離脱や削減目標未達成国、排出量増加国への対応など、多くの課題を抱えていました。そこで、2012年以降の新たな枠組みとして議論されたのが「ポスト京都議定書」です。これは、京都議定書に続く、地球温暖化対策に向けた国際的な取り組みの総称として用いられました。

京都議定書の限界とポスト京都議定書の必要性

京都議定書は、先進国に法的拘束力のある排出削減目標を課しましたが、世界最大の排出国であったアメリカ合衆国が批准せず、また、中国やインドといった主要な排出国は削減義務の対象外でした。さらに、一部の先進国は削減目標を達成できませんでした。これらの問題により、京都議定書の枠組みだけでは、地球温暖化対策の目標達成は困難であることが明らかになりました。

ポスト京都議定書は、これらの課題を克服し、より多くの国々が参加する、効果的な地球温暖化対策の枠組みを構築することを目指しました。そのため、京都議定書に代わる新たな枠組みの構築だけでなく、既存の枠組みの見直しと強化も重要な課題となりました。

ポスト京都議定書の交渉過程

ポスト京都議定書の交渉は、主に「京都議定書改正に関する特別作業部会」(AWG-KP)と「長期的協力行動に関する特別作業部会」(AWG-LCA)の二つの場で行われました。両作業部会は、それぞれ京都議定書と気候変動枠組条約に基づいて設置され、並行して交渉が進められました。

交渉は、世界各地で開催されたCOP（締約国会議）や、G8サミット、APECなどの国際会議においても活発に行われました。2007年のバリで開催されたCOP13では、「バリ行動計画」が採択され、すべての国が参加する新たな枠組みの構築を目指すとされました。

しかし、交渉は難航し、2009年のコペンハーゲンでのCOP15では合意に至らず、翌年のカンクンでのCOP16でようやく「カンクン合意」が採択されました。カンクン合意は、すべての国が参加する枠組みの構築に向けて重要な一歩となりましたが、法的拘束力のある合意には至りませんでした。

2012年のドーハでのCOP18において、京都議定書の改正案とバリ行動計画に関する一連の決定が採択され、AWG-KPとAWG-LCAは終了しました。

カンクン合意の主要な内容

カンクン合意は、先進国と途上国の双方に削減目標や行動計画の提出を求めるものでした。具体的には、先進国は2020年目標の進捗状況を定期的に報告し、国際的な審査を受けることになりました。また、途上国は、気候変動対策への支援を求める行動計画を登録簿に登録し、その進捗状況を報告することとなりました。

さらに、途上国支援のための「緑の気候基金（GCF）」の設立や、「カンクン適応枠組み」の設立なども合意されました。これらの合意は、地球温暖化対策における国際的な協調を促進するための重要な一歩となりました。

ポスト京都議定書の意義と今後の課題

ポスト京都議定書の交渉過程は、地球温暖化対策における国際協調の複雑さと困難さを示すものでした。しかし、カンクン合意をはじめとする一連の合意は、すべての国が参加する枠組み構築に向けた重要なステップとなりました。

今後の課題としては、カンクン合意に基づく具体的な制度設計の進展、途上国への支援の強化、各国の削減目標のさらなる引き上げなどが挙げられます。地球温暖化対策は、国際社会全体の協力なしには達成できない喫緊の課題であり、持続可能な社会の構築のためには、国際的な連携強化が不可欠です。

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