ポップアイ (ミサイル)

ポップアイ（Popeye）

ポップアイはイスラエルの空対地ミサイルであり、アメリカ合衆国ではAGM-142ハヴ・ナップ（AGM-142 Have Nap）として知られています。イスラエルのラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズによって開発されたこのミサイルは、大型の地上目標へのスタンドオフ攻撃を主目的としています。

概要

ポップアイは、発射後に単段式固体燃料ロケットを用いて慣性誘導で飛行します。最終的な誘導方式には、赤外線画像かTV画像のいずれかが使用され、これによりターゲットへの精確な攻撃が可能となります。また、発射機からデータリンクを介しての誘導も行えるため、運用の柔軟性が高い特徴を持っています。

このミサイルには、340kgの爆風/破片式弾頭と360kgの徹甲弾頭の2種類が存在し、攻撃対象や戦術に応じて弾頭を選択できます。

運用

ポップアイは多様な航空機との互換性を持ち、アメリカ空軍では主にB-52H戦略爆撃機に搭載されて、地上の大型固定目標への精密爆撃に利用されています。また、他の採用国としては、韓国空軍のKF-16戦闘機、トルコ空軍のF-4E 2020 Terminator、オーストラリア空軍のF-111戦闘爆撃機に搭載されています。

イスラエル国防軍では、航空機用だけでなく、ドルフィン級潜水艦による発射式の核弾頭搭載型巡航ミサイルとしての運用もしていると考えられています。運用開始後も信頼性向上やコスト削減を目指し、様々な改良が施されています。具体的には、飛翔翼、ロケットエンジン、制御システムの新型コンポーネントへの換装が行われています。

興味深いことに、湾岸戦争でこのミサイルは使用可能でしたが、「砂漠の嵐」作戦では実際には使用されませんでした。この背景には、イスラエル製のミサイルをイスラム世界のイラクに使用することに対する政治的な配慮があったとされています。

スペック

• - 重量：1,360kg（3,000lb）
• - 全長：4.82m（15ft10in）
• - 直径：533mm（21in）
• - 翼幅：1.98m（78in）
• - 誘導方式：慣性誘導 + 赤外線画像/TV画像
• - 動力：単段式固体燃料ロケット
• - 射程：78km（48miles）

派生型

• - ポップアイII：全長424cm、重量1,125kgの小型化モデルで、F-16などの軽量戦闘機向けに設計。
• - ポップアイ Turbo SLCM：潜水艦発射式の巡航ミサイルで、全長6.25m、射程320kmにまで大型化されています。

採用国

• - イスラエル
• - インド
• - アメリカ合衆国
• - 韓国
• - オーストラリア
• - トルコ

関連項目

• - 空対地ミサイル
• - アメリカ合衆国のミサイル一覧

もう一度検索