ポルシェ・918

ポルシェ918スパイダー

ポルシェ918スパイダーは、高性能スーパーカーとしてポルシェが製造したモデルで、コンセプトカーと市販版の両方を含みます。そのデザインは、1969年に登場したポルシェ917を基にしており、ポルシェ・カレラGTの後継としての地位を確立しています。918スパイダーは、エレガントでありながら圧倒的なパフォーマンスを誇り、現代の自動車技術の最前線を象徴しています。

スペックと性能

918スパイダーは、2010年3月に第80回サロン・アンテルナショナル・ド・ロトで初めて発表され、その後北京モーターショーでも展示されました。環境性能への配慮から、二酸化炭素排出量はわずか70g/kmであり、燃料消費量については3L/100kmという驚異的な数値を達成しています。一方で、走行性能に関しても妥協なく、0-100km/h加速は3.2秒以内、最高速度は320km/hに達するなど、スーパーカーとしての地位をしっかりと保持しています。

エンジンとモーター

918スパイダーの心臓部には、ポルシェRSスパイダー用に改良されたV型8気筒エンジンが搭載されています。このエンジンは、最高出力506PS(370kW)を発揮し、ミッドシップに配置されています。加えて、フロント軸には2基、リア軸には1基の合計3基の電気モーターを配備し、これによってさらに220PS(163kW)の助力を得ています。エンジンとリアモーターは7速デュアルクラッチトランスミッション（PDK）を通じて動力をリアホイールに供給し、フロントモーターは変速比固定でフロントホイールを駆動します。バッテリーは車体後方に設置された液冷リチウムイオン電池で、効率的な電力供給を実現しています。

918スパイダーには、以下の4つの走行モードが用意されています。

• - E-Driveモード: バッテリー電力で走行し、最大で約26kmの航続距離を持ちます。
• - ハイブリッドモード: エンジンとモーターを併用します。
• - スポーツモード: 応答性を高めた走行を実現します。
• - レースモード: 更なる出力を得るためのパスボタン機能が追加されており、短時間の間にモーター出力を向上させることが可能です。

シャシと構造

シャシは軽量なカーボン繊維強化プラスチックで作られており、またアルミやマグネシウムも使用されています。これは、ポルシェ・カレラGTの技術を取り入れつつ、素材選びで徹底的な軽量化を追求した結果です。カレラGTでの余剰パーツも活用され、効率よく生産が行われました。

918RSR

918スパイダーのレーシングバージョンである918RSRも注目に値します。2011年の北米国際オートショーで発表されたこのモデルは、ポルシェ917Kに由来します。直噴化が行われた563PS（414kW）のエンジンを搭載し、フロントにモーターを配備したことによって、従来のプラグインハイブリッドを排除した新しいアプローチを採用しています。

市販化と特別モデル

ポルシェは2011年5月に918スパイダーの市販を発表し、受注を開始しました。価格は684,800ユーロで、世界限定918台の生産が予定されています。なお、2013年9月から生産が始まり、2015年にはすべてのモデルがラインオフされました。また、オプションとして導入されたヴァイザッハ・パッケージにより、さらに36kgの軽量化が図られています。

このように、918スパイダーはポルシェの革新的な技術の集大成として、性能と環境への配慮を両立させた傑作として記憶されています。

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