ポロンナルワ

ポロンナルワ：スリランカの古都

ポロンナルワは、スリランカの北中部州に位置する古代都市で、1017年から1255年までシンハラ王国の首都として繁栄しました。かつてはジャングルに埋もれていましたが、19世紀に再発見され、その歴史的価値から1982年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。

歴史

11世紀初頭、南インドのチョーラ王朝の侵攻により、シンハラ王国の首都はアヌラーダプラからポロンナルワへと遷都されました。その後、ウィジャヤバーフ1世がチョーラ王朝を駆逐し、ポロンナルワはシンハラ王国の中心地として再興されます。特に、パラークラマ・バーフ1世の時代には、農業と交易が発展し、黄金時代を迎えました。

パラークラマ・バーフ1世は、灌漑設備の整備に力を注ぎ、広大な貯水池「パラークラマ・サムドゥラ」を建設しました。これにより、乾季でも農業が可能となり、首都は自給自足の体制を確立しました。しかし、ニッサンカ・マッラ王以降の王族は保身に走り、南インドの勢力を頼るようになり、王国の力は衰退しました。13世紀には、南インドの侵攻が相次ぎ、1255年にはシンハラ王朝はポロンナルワを放棄し、首都はダンバデニヤへと移されました。

遺跡群

ポロンナルワには、王宮、仏教寺院、ヒンドゥー教寺院、灌漑施設など、様々な遺跡が残されています。主な遺跡は以下の通りです。

ポロンナルワ王宮 (Vejayanta Pasada): 王が居住した宮殿跡。
閣議場 (The Council Chamber / Audience Hall): 王族や大臣たちが会議を行った場所。
ラター・マンダパヤ (Latha Mandapaya): 蓮の形をした読経所。
トゥーパラーマ (Thuparamaya): ゲディゲ様式の仏堂。
ワタダーゲ (Vatadage): 円形の仏塔跡。
アタダーゲ (Atadage): 「八宝の家」と呼ばれる建物。
ハタダーゲ (Hatadage): 仏歯寺跡。
ガル・ポタ (Gal Potha): 石に刻まれた巨大な碑文。
ガル・ヴィハーラ (Gal Viharaya): 釈迦の涅槃像、立像、座像がある。
ネルン・ポクナ (Nelum Pokuna): 蓮の池。
サトゥマハル・プラサーダ (Satmahal Prasada): 7段のピラミッド型の寺院。
ランカティラカ (Lankathilake): 仏殿。
ランコトゥ・ヴィハーラ (Ran Kot Vehera): ポロンナルワ最大の仏塔。
パブル・ヴィハーラ (Pabulu Vehera): 珊瑚色の寺院。
キリ・ヴィハーラ (Kiri Vehera): 「乳白色の寺院」。
ポトゥグル・ヴィハーラ (Potgul Vihara): 僧院。
ティワンカ (Tivanka): 仏殿。
シヴァ・デーワーラヤ (Siva Devale): ヒンドゥー教寺院跡。
ニッサンカ・マッラの沐浴場 (Kumara Pokuna): 王族が沐浴した場所。
ダミラ・マハ・セヤ (Damila Maha Seya): 未完の巨大な仏塔。

これらの遺跡は、ポロンナルワの歴史と文化を今に伝える貴重な遺産です。

世界遺産としての価値

ポロンナルワは、その優れた文化的価値が認められ、以下の登録基準を満たしています。

(1) 人類の創造的才能を表現する傑作であること。
(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠であること。
* (6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するものであること。

現代のポロンナルワ

現在、ポロンナルワはスリランカ北中部州の第二の都市として、その美しさと清潔さで知られています。観光地としても人気があり、パラークラマ・サムドゥラ湖畔での散策や、古代遺跡の見学を楽しむことができます。ただし、近年は気候変動の影響で、雨季や低温の日が増加しているため、訪れる際には注意が必要です。

まとめ

ポロンナルワは、古代シンハラ王国の栄華を今に伝える貴重な遺跡群です。その歴史、文化、そして美しい自然は、訪れる人々を魅了し続けています。スリランカを訪れる際には、ぜひポロンナルワを訪れて、その歴史的な魅力に触れてみてください。

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