ポンパレ

ポンパレ：共同購入型クーポンサイトの興亡

2010年代初頭、日本国内で流行した共同購入型クーポンサイト。その代表格の一つとして知られるのが「ポンパレ」です。リクルートライフスタイルが運営していた本サービスは、2010年7月に「ポンパレード」として誕生、同年10月に「ポンパレ」と改名し、サービスを開始しました。

メリットと参入背景

ポンパレは、一定数の購入者が集まると割引チケットを購入できる仕組みでした。飲食店にとっては、先行して現金を得られることや集客効果が期待できるメリットがありました。一方、ユーザーは飲食や物販を割引価格で購入できるというメリットがありました。

ポンパレの登場は、米国発祥の共同購入型クーポンサイトが日本市場に波及した流れの中でした。2010年前後には、PikuやKAUPONといったサービスが先行して登場しており、市場は活況を呈していました。短期間で100社以上の企業が参入するほどの競争激化状況下において、豊富な広告媒体とクライアント接点、そして資金力を持つリクルートの参入は必然的なものでした。フラッシュマーケティング業界では、店舗への営業力とチケット購入者数の確保が競争優位性の鍵であり、独自性による差別化が難しい状況でした。

市場における地位

2012年9月の時点で、ポンパレは月間販売総額14億5094万7685円を達成しており、当時市場をリードしていたGroupon Japanとトップ争いを繰り広げる存在でした。両社は市場における「2強」として認識されていました。

広告戦略と話題性

ポンパレは積極的な広告展開を行いました。特に記憶に残っているのが、温泉旅館にいる女性の写真を掲載したバナー広告です。Adsenseなどのアドネットワークを通じて大量配信されたそのバナーは、多くのユーザーの目に触れ、「あの女性は誰だ？」と話題を呼びました。また、野沢雅子さんのナレーションと、テンゲン・ガリ中島さん、藤岡みなみさん、ダンディ坂野さんなどが出演したテレビCMも大きな話題となりました。

炎上事件

ポンパレはサービス開始後、幾つかの問題に直面しました。

割引チケットの割引率に疑問が呈されたケース: リリース初期に販売されたチケットにおいて、広告記載の割引率と実際の割引率に差異があるのではないかという指摘がTwitter上でなされ、炎上騒ぎとなりました。
取引成立数の過剰設定: あるアイスクリームのチケット販売において、取引成立に必要な購入枚数を非常に高く設定したことで、「取引不成立前提の宣伝目的ではないか」という批判が噴出しました。
システムトラブル: 予想外の大量注文により、決済システムがダウンするトラブルが複数回発生。ボンカレーの大規模な共同購入企画は、システム障害を招いたとして中止されました。
チケットの販売後キャンセル: あるプリンのチケット販売において、想定外の注文数により店舗が対応できなくなり、チケットがキャンセルされた事例も発生し、ユーザーから強い批判を受けました。

これらのトラブルは、急成長を遂げたサービスが抱える課題を象徴的に示すものでした。

サービス終了とポンパレモールの誕生

運営方針の変更に伴い、2017年4月25日より新着チケットの定期販売が停止され、同年5月25日には全てのチケット販売が終了しました。その後、2018年12月12日にサービスを完全に終了しました。現在では、インターネットショッピングモールである「ポンパレモール」がその名称を引き継いでいますが、共同購入型クーポンの販売は行っていません。

ポンパレの盛衰は、共同購入型クーポンサイトの隆盛と短命さを示す一つの事例として、現代においても記憶されています。その成功と失敗から得られた教訓は、多くの企業にとって貴重な財産となっていると言えるでしょう。

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