ポートジャクソンネコザメ

ポートジャクソンネコザメ（Heterodontus portusjacksoni）

ポートジャクソンネコザメ、学名Heterodontus portusjacksoniは、ネコザメ目に属するサメの一種で、特にその愛らしい外見と穏やかな性格で知られています。このサメはネコザメ科に属し、最初に記載された種でもあります。種小名の「portusjacksoni」は、彼らの生息地であるオーストラリアの湾「ポートジャクソン」にちなんで名付けられました。

生息域

このサメは南オーストラリアの沿岸海域に限定して生息しています。生息水域は潮間帯から深海の275メートルまで及び、特に岩の隙間や海底の隠れ家を好む傾向があります。彼らの生息場所は、珊瑚礁や砂地が特徴的です。

形態

ポートジャクソンネコザメの最大全長は165センチメートルですが、137センチ以上の個体は非常に稀です。特徴としては、ネコザメ科に共通する背鰭前棘、眼上の隆起、臀鰭が挙げられます。体色は薄褐色から灰褐色で、体側には目を通る濃い横帯と独特の鞍状の濃色帯が見受けられます。また、口の中の前歯は鋭く単尖頭であり、後歯は臼歯状になっていて、獲物を噛み砕くのに適しています。彼らの体は大きな循鱗で覆われており、粗く頑丈な表面を持っています。

生態

ポートジャクソンネコザメは夜行性で、昼間はあまり活発に動かず、岩の隙間などに身を潜めて休息します。彼らの主な食事は底生の無脊椎動物で、特にウニ（Centrostephanus rodgersi）を好んで捕食します。その他には、甲殻類、貝類、小魚なども食べることがあります。卵生であり、毎年の産卵期は8月から9月に集中し、雌は一定の間隔で2個ずつ卵を産みます。産卵全体では10到16個の卵を生むことがあります。卵は周囲がらせん状のひだで取り囲まれており、岩の裂け目にしっかりと固定されます。卵から孵化する仔魚は10から11ヶ月後に生まれ、体長は180から220ミリメートル程度になります。雌の成熟サイズは全長70から90センチ、雄は55から70センチに達します。成熟年齢は環境によって異なりますが、観察では雌が11から14年、雄が8から10年とされています。

人との関わり

ポートジャクソンネコザメは水産業において重要な役割を果たすことはありませんが、混獲されることがあります。一般的には食用とされず、スポーツフィッシングの対象にもなりません。その一方で、観賞用としては人気があり、国内外の水族館やアクアリストの間で取引されています。丈夫でおとなしい性格から飼育にも適していますが、刺激を与えると咬まれる可能性があるため注意が必要です。日本では飼育数は少ないものの、アクアワールド大洗などで見ることができます。

このようにポートジャクソンネコザメは、その独特な外観と生態から、多くの人々に愛されているサメの一種です。

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