ポートレイト・イン・ジャズ2

『ポートレイト・イン・ジャズ2』

『ポートレイト・イン・ジャズ2』は、村上春樹によるエッセイと和田誠の美しいイラストが融合した作品集です。この書籍は2001年4月27日に新潮社から出版され、同年に開催された個展「JAZZ2」に向けて和田が描いた絵画を基に構成されています。前作『ポートレイト・イン・ジャズ』の続編として位置付けられ、個々のジャズミュージシャンに対する村上の深い思索が散りばめられています。

和田誠が描いたのは、ジャズの巨星たち、合計26人のミュージシャンです。各アーティストに対して、村上が新たに執筆したエッセイが付けられています。特に村上の文章は、ジャズに対する敬意と情熱が見事に表現されており、音楽が持つ力強さと美しさを読者に伝えます。また、村上はアート・ペッパーやフランク・シナトラ、ギル・エヴァンズの新たなエッセイも追加し、より深い読み応えのある内容に仕上げました。

収録されたアーティストは、伝説的なミュージシャンが名を連ねています。例えば、ソニー・ロリンズの『THE BRIDGE』や、ホレス・シルヴァーの『SONG FOR MY FATHER』、さらにはアニタ・オデイによる『ANITA 0'DAY AT MISTER KELLY'S』など、各アルバムが持つ独自の魅力を村上は絶妙に描写しています。これにより、音楽を通じた新たな視点を提供しています。

さらに、モダン・ジャズ・カルテットやテディ・ウィルソン、といった名演奏家の作品も収録されており、ジャズの多様性とその歴史的重要性を感じることができます。オスカー・ピーターソンの『NORMAN GRANZ' JAZZ AT THE PHILHARMONIC VOL.16』や、ハービー・ハンコックの『MAIDEN VOYAGE』なども含まれ、ジャズ好きにはたまらない一冊となっています。

本書は、同じタイトルで新潮文庫からも再刊されており、そちらには書き下ろしエッセイが追加されています。このように、『ポートレイト・イン・ジャズ2』は村上春樹の文学と和田誠の絵画が融合し、ジャズの世界を豊かに表現した貴重な作品となっています。

音楽に対する愛情と洞察が込められたこの本は、ジャズファンはもちろん、アートや文学に興味を持つ全ての人にとって価値ある一冊となるでしょう。高い音楽性と深い文学性が交差するこのエッセイ集は、読者に新たな感動をもたらします。音楽と文学の豊かな関係を実感できる作品として、一度は手に取って欲しい一冊です。

もう一度検索