ポール (紋章学)

紋章学におけるポール（Pall）の詳細解説

ポール（英: Pall、仏: Pairle）は、紋章学において、シールド（盾）またはフィールド（地）の上端左右の角から底辺にわたるY字型のチャージを指します。これは、チーフ、ペイル、ベンド、フェス、シェブロンと並んで、紋章学の代表的なオーディナリー（基本図形）の一つとして知られています。

ポールの特徴とバリエーション

ポールは、特にイングランドの紋章ではあまり見られないため、イングランドの紋章学の書籍では言及されないことがあります。しかし、同じイギリスでもスコットランドの紋章においては比較的よく用いられています。

ディミニティブ

シールドの端まで届かず、3つの腕の終端が尖っているポールは、シェイクフォーク（shakefork）と呼ばれます。一方、終端を尖らせずに直角に切り、短くしたものはポール・クーペド（pall couped）と記述されます。

イクリジアスティカル・パリウム

シールド上のポールは、聖職者、特に司教区との関係を示す場合があります。この場合、ポールは通常、下に突き出た腕がシールドの底に達せず、房飾り（フリンジ）が付いています。このようなポールは、イクリジアスティカル・パリウム（ecclesiastical palliums、聖職者のパリウム）と記述されます。

ポールに関する特殊な用語

パーティ・パー・ポール (party per pall)

フィールドをポールと同じようにY字型に3分割したものを指します。これは、ティアスト・パー・ポール（tierced per pall）、ティアスト・ポールワイズ（tierced pallwise）、またはティアスト・イン・ペアール（tierced in pairle）とも記述されます。分割されたフィールドに対するティンクチャー（色）や図柄の指定は、中央上、左下、右下の順に行われます。

分割された領域が互いに隣り合っているため、金属色の隣に金属色、原色の隣に原色を配置してはならないという紋章学上の原則を実質上守ることが難しい場合があります。このような分割は、チェコ、ジブチ、フィリピンなどの国旗で見られます。これらの国旗のパーティ・パー・ポールは左に90度回転しているように見えますが、旗竿が上にあり、そこに吊り下げる形で示されていたため、これが正位置とされます。

パーティ・パー・ポール・リバースド (party per pall reversed)

パーティ・パー・ポールの上下を逆にしたものです。ティンクチャーや紋章記述の順序は、単純に上下を逆にするのではなく、左上、右上、中央下の順に変わります。これは、紋章記述の原則として、左上、右上、左下、右下の方向へ上を優先しながら記述が進むためです。フランス語の紋章記述では tiercé en pairle renversé と記述されるため、英語でも同義の reversed が用いられますが、これは定訳ではありません。

関連項目

• - 紋章学
• - 紋章
• - 旗章学

外部リンク

• - コウブチ紋章資料館
• - 紋章学総合サイト
• - 中世ヨーロッパの風景 「紋章について」
• - Dragon's Lair「ヨーロッパ紋章学」

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