ポール・ヘリヤー

ポール・セオドア・ヘリヤーの生涯

ポール・セオドア・ヘリヤー（Paul Theodore Hellyer、1923年8月6日 - 2021年8月8日）は、カナダの政治、技術、文筆の世界で顕著な足跡を残した人物です。彼の生涯は、エンジニアとしての専門知識、政治家としての行動力、そして独自の視点から社会を批判する評論家としての側面が複雑に絡み合っていました。

若年期と軍歴

オンタリオ州の農場で育ったヘリヤーは、グレンデールのカーティス・ライト技術研究所で航空宇宙工学を学び、パイロット免許も取得しました。第二次世界大戦中は、カナダ空軍への入隊を希望しましたが、パイロットの需要がないため、王立カナダ砲兵隊で砲手として従軍しました。その後、トロント大学で文学士号を取得し、多岐にわたる知識と経験を身につけていきました。

政界への進出と国防大臣時代

1949年、ヘリヤーはカナダ自由党から連邦議員に初当選し、当時の最年少議員となりました。国防大臣の政務補佐官を経て、国防副大臣に任命されましたが、内閣は短命に終わります。1958年に再び議席を得てからは、進歩保守党政権への批判者として活躍しました。1963年、レスター・B・ピアソン内閣で国防大臣に就任し、カナダ軍の統合という大改革を断行。この組織統合は、彼の政治キャリアにおける最大の業績とされています。

自由党党首選と閣僚辞任

1968年の自由党党首選挙では、当初優勢でしたが、最終的にピエール・トルドーに敗れました。その後、トルドー内閣で運輸大臣を務めましたが、住宅政策を巡る対立から1969年に辞任。この辞任は、彼が自身の信念を曲げない政治家であることを示しました。

無所属から進歩保守党へ

1971年には無所属議員となり、新党「アクション・カナダ」を結成を試みるも失敗。その後、進歩保守党に入党し、与党批判を続けましたが、1974年の選挙で議席を失います。1976年には進歩保守党党首選に出馬しますが、その右派的な立場から支持を得られず、ジョー・クラークに敗れました。

カナダ行動党の設立

1997年には、経済ナショナリズムを掲げるカナダ行動党を設立しました。彼は既存の政党がグローバリゼーションを受け入れていると批判し、公的資金の創出を増やすことで政府がより経済に関与すべきだと主張しました。しかし、この党は小規模な政党のまま、ヘリヤー自身も国会議員に返り咲くことはありませんでした。

地球外知的生命体に関する主張

2005年以降、ヘリヤーは地球外知的生命体（UFO）の存在を公然と主張しました。彼は自身のUFO目撃体験や、政府が情報を隠蔽している可能性を示唆し、気候変動問題解決に役立つ可能性のある宇宙人技術の開示を求めました。彼のこの主張は、多くの人々の関心を集め、論議を呼びました。

私生活と晩年

ヘリヤーはトロントに居住し、3人の子供と5人の孫に恵まれました。彼はトロント・サン紙の初期の投資家であり、コラムニストとしても活動しました。2021年8月8日、98歳で逝去。

著書

ヘリヤーは、グローバリゼーションや経済問題、そしてカナダの独立をテーマにした数多くの著書を執筆しました。彼の著書は、彼の多角的な視点と、社会に対する深い考察を反映しています。

Agenda, a Plan for Action (1971年)
Exit Inflation (1981年)
Jobs for All: Capitalism on Trial (1984年)
Damn the Torpedoes (1990年)
Funny Money: A common sense alternative to mainline economics (1994年)
Surviving the Global Financial Crisis: The Economics of Hope for Generation X (1996年)
Evil Empire : Globalization's Darker Side (1997年)
Stop: Think (1999年)
Goodbye Canada (2001)
One Big Party: To Keep Canada Independent (2003年)
A Miracle in Waiting (2010年)
Light at the End of the Tunnel: A Survival Plan for the Human Species (2010年)
* The Money Mafia: A World in Crisis (2014年)


ポール・セオドア・ヘリヤーは、常に既存の枠組みにとらわれず、独自の視点から社会問題に挑んだ人物でした。彼の生涯は、多岐にわたる分野での活躍と、常に議論を呼ぶ主張によって彩られており、その影響は今もなお続いています。

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