ポール・リヴィア&ザ・レイダーズ

ポール・リヴィア＆ザ・レイダーズ：アメリカン・ロックの異端児

ポール・リヴィア＆ザ・レイダーズ（Paul Revere & the Raiders）は、1958年にアイダホ州ボイシで産声を上げたアメリカン・ロックバンドです。当初はダウンビーツというインストゥルメンタル・ロック・コンボとして活動していましたが、オルガン奏者ポール・リヴィアとヴォーカルのマーク・リンゼイの加入によって、その音楽性は大きく変化しました。

黎明期とブレイク

1961年に「Like, Long Hair」がマイナーヒットを記録。1963年には「Louie Louie」のカバーがビルボードのHot100入りを逃すものの、プロデューサー、テリー・メルチャーとの出会いがバンドの運命を大きく変えます。コロムビア・レコードとの契約後、1966年1月にディック・クラークの番組『Where The Action Is』で取り上げられたシングル「Just Like Me」が、ホット100で11位を記録。続く「Kicks」と「Hungry」もトップ10入りを果たし、バンドは一躍国民的スターダムへと駆け上がりました。

ディック・クラークのテレビ番組での露出は、マーク・リンゼイをティーン・アイドルとして、ポール・リヴィアをグループの「狂人」として印象付け、1966年から69年にかけて12曲ものヒット曲をトップ30に送り込みました。1966年には、『Just Like Us』、『Midnight Ride』、『The Spirit of '67』の3枚のアルバムがRIAAによってゴールド認定され、その人気を不動のものとしました。

その後

1969年、マーク・リンゼイがテリー・メルチャーの後を継いでレイダースのプロデューサーとなり、「Let Me!」が全米20位のヒットを記録。1970年代に入るとバンド名を「レイダース」と短縮し、1971年にはカバー曲「Indian Reservation (The Lament of the Cherokee Reservation Indian)」がアメリカとカナダで1位を獲得。1996年にはプラチナ・ディスクに認定されました。しかし、その後のレコードの成功は続かず、1975年にコロムビアから解雇され、バンドは一旦解散。

1978年、ポール・リヴィアはコメディとロックンロールを融合させたライブパフォーマンスで活動を再開。彼は2014年に癌でこの世を去りました。バンドは幾度かのメンバーチェンジを経ていますが、最もよく知られた「クラシック」なラインナップは、マーク・リンゼイ（ヴォーカル、サックス）、ポール・リヴィア（キーボード）、ドレイク・"キッド"・レヴィン（ギター）、フィル・"ファング"・ヴォルク（ベース）、マイク・"スミッティ"・スミス（ドラムス）でした。このラインナップは、1965年から1967年にかけてコロムビアからリリースされた最初の5枚のアルバムに収録された楽曲のほとんどをレコーディングしています。

音楽性とイメージ

レイダースの音楽は、ガレージロック、ポップロック、そして初期のサイケデリックロックの影響を受けており、そのサウンドはエネルギッシュでキャッチーなメロディーが特徴です。また、彼らはアメリカ独立戦争時代の衣装を模した奇抜なファッションでも知られており、その視覚的なインパクトも人気を博した要因の一つでした。

ポール・リヴィア＆ザ・レイダーズは、アメリカン・ロックの歴史において、独自のスタイルと音楽性で異彩を放ったバンドとして、その名を刻んでいます。

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