ポール・ローマー

ポール・マイケル・ローマー

ポール・マイケル・ローマー（Paul Michael Romer）は、1955年11月7日にアメリカ合衆国コロラド州デンバーで生まれた著名な経済学者です。現在、スタンフォード大学で教授として経済成長理論を専門に研究・教育を行っています。彼は特に内生的成長理論の確立に貢献し、経済成長におけるイノベーションの役割を強調したことで知られています。この業績は、1997年にタイム誌が選ぶ「アメリカで最も影響のある25人」の一人にも選ばれるほどの影響力を持ちました。

経歴

ローマーはシカゴ大学の物理学部を卒業後、同大学院で経済学のPh.D.を取得しました。彼の学術キャリアは、ロチェスター大学での助教授の地位から始まり、その後シカゴ大学、カリフォルニア大学バークレー校を経て現在のスタンフォード大学に至ります。また、彼は1995年からスタンフォード大学付属のフーヴァー研究所で上級研究員も務めています。彼はさまざまな受賞歴があり、2002年にはホルスト・クラウス・レクテンヴァルト経済学賞を獲得し、2018年にはノーベル経済学賞を受賞しています。

学問上の功績

ローマーは経済成長理論の革新者として位置づけられ、その理論の基礎を築いたのはロバート・ソローによるものですが、従来の理論の限界に挑戦する形で内生的成長理論を展開しました。ソロー・モデルは資本の蓄積に依存し、一度定常均衡に達すると成長が止まるという欠点がありました。ローマーはこの問題を解決するために、イノベーションを持続的成長の源とするメカニズムをモデル化しました。

彼の論文『Increasing Returns and Long Run Growth』（1986年発表）では、イノベーションによって生み出される知識やアイディアが生産をどのように向上させるかを詳細に論じています。特に、アイディアが非競合財であり、収穫が逓増する特性を持つことを強調しました。これは、アイディアの生成には初期コストがかかるものの、その後のコピーにはほとんどコストがかからないため、アイディアを持つ者が独占的な権利を持つことで、革新のインセンティブを高めることが必要だという考え方へとつながります。

ローマーは、彼自身が提唱した内生的成長理論を通じて、経済成長におけるイノベーションの決定的な役割を示しました。彼のアプローチは、1990年代には広く受け入れられ、経済成長理論の中で重要な位置を占めることになりました。このように、ローマーは学界において大きな影響を与え続けており、経済学に関する理解を深める上でも重要な存在となっています。

主な著作

ローマーは、数多くの重要な論文を発表し、経済学の発展に寄与してきました。代表的なものには次のようなものがあります：

• - 「Increasing Returns and Long Run Growth」(1986年)
• - 「Endogenous Technological Change」(1990年)
• - 「Economic Integration and Endogenous Growth」(1991年)

これらの業績から、ローマーは経済成長理論に新しい視点を提供し、その重要性を高めました。彼の研究は、今後の経済学の発展においてもなお多大な影響を持つと考えられています。

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