マイアミ・ラプソディー

『マイアミ・ラプソディー』（原題：Miami Rhapsody）は、1995年にアメリカ合衆国で製作・公開されたロマンティック・コメディ映画です。監督・脚本はノーマン・スタインバーグが務め、陽光溢れる都市マイアミを舞台に、結婚を巡る家族と個人の複雑な事情がユーモラスかつ繊細に描かれます。

物語の主人公は、マイアミでコピーライターとして働く女性、グウィン・マーカスです。彼女は長年真剣に交際してきた恋人マットとの結婚を間近に控えており、新たな人生への期待に胸を膨らませています。しかし、その幸せな準備期間に、彼女の家族内で予期せぬ事態が次々と持ち上がります。

まず、模範的な夫婦だと思っていた両親、母親のニーナと父親のヴィックそれぞれに、隠された不倫の事実があることが明らかになります。さらに、頼りになると思っていた兄のジョーダンも、妻とは別の女性と関係を持っていることが露呈。身近な家族たちの、これまで知らなかった複雑な人間関係や秘密の露呈に、グウィンは大きな衝撃を受けます。

愛する家族たちの相次ぐ浮気騒動を目の当たりにしたグウィンは、結婚という制度、あるいは夫婦間や家族内の信頼関係について、深く思い悩むようになります。「本当に結婚とは幸せなものなのか」「誠実な関係を保つことは可能なのか」といった問いが、彼女の心の中に生まれ、結婚への純粋な期待は、漠然とした不安へと変わり始めます。

家族の問題は、グウィン自身と恋人マットの関係にも影響を及ぼします。結婚に向けて準備を進める二人ですが、グウィンの内面の揺らぎや不安は、マットとの間にも微妙なずれを生じさせ、次第に二人の関係はぎこちなくなっていきます。グウィンは、家族の姿を通して、自身の未来、自身の結婚のあり方を自問自答せざるを得ない状況に追い込まれます。

本作は、結婚を控えた一人の女性が、家族の抱える普遍的な問題と向き合う中で、自分自身の価値観や幸せの形を見つけ出そうとする過程を描いています。ロマンティック・コメディの枠組みの中で、家族の絆、信頼、そして自己探求といったテーマが織り交ぜられています。

主要キャストは以下の通りです（括弧内は日本語吹替）。

グウェン・マーカス: サラ・ジェシカ・パーカー（勝生真沙子）
マット: ギル・ベローズ（井上和彦）
ニーナ・マーカス: ミア・ファロー（谷育子）
ヴィック・マーカス: ポール・マザースキー（阪脩）
ジョーダン・マーカス: ケヴィン・ポラック（大塚芳忠）
アントニオ: アントニオ・バンデラス（大塚明夫）
カイア: ナオミ・キャンベル（藤生聖子）
レスリー・マーカス: カーラ・グギノ（井上喜久子）
ミッチェル: ジェレミー・ピヴェン（田中正彦）
デレク: ドナル・ローグ（小野健一）
ゼルダ: ケリー・ビショップ（此島愛子）
テリー: バーバラ・ギャリック（幸田直子）
ジェフ: ボー・イーソン（佐久田修）
チャーリー: ノーマン・スタインバーグ（田原アルノ）
* ラビ: ベン・スタイン

華やかな都市マイアミを背景に、登場人物たちの人間味溢れるやり取りや、時にコミカルに、時にシリアスに描かれる家族のドラマが見どころです。結婚という人生の大きな節目を前にした主人公の葛藤と成長が、観客に共感を呼び起こす作品となっています。

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