マイキー・ドレッド

マイキー・ドレッド：レゲエのパイオニア、その革新的な足跡

マイキー・ドレッド（本名：マイケル・ジョージ・キャンベル、1954年6月4日 - 2008年3月15日）は、ジャマイカ出身の歌手、プロデューサー、そして革新的なDJとして知られています。特に、ジャマイカ初のレゲエ専門ラジオ番組『ドレッド・アット・ザ・コントロールズ』の企画とDJ担当は、彼のキャリアにおける重要な功績です。

ジャマイカでの躍進

幼少の頃からエンジニアリングとエレクトロニクスの才能を発揮していたキャンベルは、1976年に大学を卒業後、ジャマイカ放送協会（JBC）にエンジニアとして入社しました。1970年代、ジャマイカではレゲエ音楽が隆盛を極めていましたが、JBCの番組は外国のポップスばかりでした。彼は上司を説得し、自身の深夜ラジオ番組『ドレッド・アット・ザ・コントロールズ』をスタートさせました。この番組は瞬く間にJBCで最も人気のある番組となり、ジャマイカ全土で話題を呼びました。しかし、その革新的なスタイルは保守的な経営陣との対立を生み、彼はJBCを退社することになります。

JBC退社後、キャンベルは歌手、プロデューサーとしての活動を本格化させます。『ドレッド・アット・ザ・コントロールズ』、『エヴォリューショナリィ・ロッカーズ』、『第三次世界大戦』などのアルバムはレゲエファンから高く評価され、キング・タビーやカールトン・パターソンとの共同制作も成功を収めました。

イギリスでの成功と国際的な活躍

キャンベルの音楽は、イギリスのパンク・ロックバンド、ザ・クラッシュの目に留まりました。彼らのプロデュースのためにイギリスに招かれたキャンベルは、当初は警戒されながらも、シングル「バンクロバー」のプロデュースを通してすぐにバンドと打ち解けました。1980年のアルバム『サンディニスタ!』では、数曲でボーカルも担当し、クラッシュと共にイギリス、ヨーロッパ、アメリカツアーを巡り、新たなファンを獲得しました。

ロンドンのナショナル・ブロードキャスティング・スクールでメディア制作やラジオ放送の技術を磨き、1980年に特別賞を得て卒業。その後、UB40のダブトラックをプロデュースし、彼らのヨーロッパツアーのサポートも務めました。イギリスでは、レゲエ・ドキュメンタリーのナレーションや、シリーズ物のホスト役も担当するなど、多岐にわたる活動を展開しました。

1990年代には、フレディ・マクレガー、ロイド・パークスらとヨーロッパ、アメリカでツアーを行い、ガンズ・アンド・ローゼズの元ギタリスト、イジー・ストラドリンとのコラボレーションも実現しました。1994年には、マーティンズ・インターナショナル・レゲエ・ミュージック・アワードでカルチャー・アワード・オブ・オナーを受賞するなど、その功績が認められました。

アメリカでの再出発と晩年

長年の音楽活動の後、キャンベルは一度引退し、大学時代を過ごしたマイアミに移り住みました。レコード会社との契約に不満を感じていた彼は、自身の作品の契約期間が終了するのを待ち、多くを自身のレーベル"Dread At The Controls"から再リリースしました。また、ザ・クラッシュのアルバム『サンディニスタ!』のトリビュートアルバムにも参加しています。

2007年10月、脳腫瘍の治療中であることが公表され、2008年3月15日、コネチカット州スタンフォードで家族に見守られながら息を引き取りました。

マイキー・ドレッドは、レゲエ音楽の普及に大きく貢献し、多くのアーティストに影響を与えた、真のパイオニアでした。

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