マイクロピペット

マイクロピペット：精密な分注を支える理化学実験の要

マイクロピペットは、理化学実験において少量の液体を正確に計量・分注するために用いられる精密機器です。主に2種類が存在し、それぞれ異なる用途で活用されています。

1. プッシュボタン式液体用微量体積計

日本で「マイクロピペット」と呼ばれるものは、JIS規格では「プッシュボタン式液体用微量体積計」と正式に定義されています。これは、ボタンを押す操作によって液体を吸入・排出する仕組みを持つ精密なピペットです。一般的に1μlから1000μl（1ml）の容量に対応する製品が多く、1mlを超える容量のものはマクロピペットと呼ばれます。

マイクロピペットの歴史

マイクロピペットは、Wisconsin invention社によって開発されました。発明者には、Warren Gilson氏とウィスコンシン大学マディソン校の生化学教授であったHenry Lardy氏が名を連ねます。

主要メーカー

世界中で多くの企業がマイクロピペットを製造しています。代表的なメーカーとして、Eppendorf、Hamilton、Rainin、Drummond、BrandTech、Oxford、Hirschmann、Biohit、Labnet、Nichiryo、Gilson、Corning、VistaLab、Thermo、Jenconsなどが挙げられます。これらのメーカーは、様々な機能や仕様のマイクロピペットを提供し、研究者たちのニーズに応えています。

2. ガラスマイクロピペット

一方、「ガラスマイクロピペット」は、ガラス管を特殊な装置（ガラスマイクロピペットプラー）を用いて引き伸ばして作製された、顕微鏡サンプルを直接操作するためのピペットです。日本では、「キャピラリー」や「キャピラリー電極」と呼ばれることもあります。

ガラスマイクロピペットの用途

ガラスマイクロピペットは、マイクロインジェクションやパッチクランプ法といった高度な実験手法で用いられます。これらの実験では、極めて微小な量の液体を操作する必要があり、ガラスマイクロピペットの高い精度と操作性が不可欠となります。

ガラスマイクロピペットの作製

ガラスマイクロピペットは、ホウ珪酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、石英ガラスなどのガラス管を、専用のプラー装置を用いて作製されます。Flaming/Brown型プラーは、その中でも著名な装置の一つです。実験目的に応じて、様々な形状やサイズ、特性を持つガラスマイクロピペットが作製されます。

まとめ

マイクロピペットは、プッシュボタン式とガラス式の2種類が存在し、それぞれが異なる用途で、理化学実験に貢献しています。正確な分注、精密な操作が求められる実験において、マイクロピペットは不可欠な存在であり、その高い技術と精密性によって、科学研究の発展を支えています。今後も、より高精度で使いやすいマイクロピペットの開発が期待されます。

もう一度検索