マイクロラブサット

マイクロラブサット (μ-LabSat) について

マイクロラブサット（μ-LabSat）は、宇宙開発事業団（NASDA、現宇宙航空研究開発機構[JAXA]）が開発した、技術実証を目的とする50 kg級の小型人工衛星になります。この活動は、1994年に開始され、先端技術の宇宙での実証を通じて基盤技術の強化と若手技術者の育成を目指しています。

背景

1990年代の前半、実用衛星システムの大型化と複雑化により、開発期間が長期化し、衛星開発の技術者の経験不足や技術力の低下が問題視されるようになりました。そのため、新しい技術のテストや実証の機会が減少し、これがさらに技術者の育成に悪影響を及ぼすことが懸念されました。これらの背景から、宇宙での先端技術の実証を行うマイクロラブサットのプログラムが立ち上げられました。

マイクロラブサット1号機のスペックとミッション

1号機は、ピギーバック衛星としての役割を果たし、宇宙での各種技術の実証を目的としたもので、主に5つのミッションが設定されています。

1. 50 kg級小型衛星バスの実験：民生用のi386SXを利用した三重冗長のオンボードコンピュータによる集中制御の実証。
2. CCD地球センサ実験：電荷結合素子を用いて地球の画像を処理し、姿勢角を推定。
3. 自励振動型ヒートパイプ実験：高発熱機器の熱管理に関する実験。
4. SELENEリレー分離機構実験：新しい分離機構の実証。
5. 遠隔検査技術実験：故障した衛星の点検に必要な技術の実証。

開発の経緯

1994年には、基本の六角柱形状に基づく衛星が計画され、コンポーネントレベルの試作が進みました。しかし、1998年にはSELENEリレー衛星用の分離機構実証など、新たなミッションが追加され、設計が八角柱形状に変更されるなど、プロジェクトは一度大きく方向転換をします。

打ち上げと運用

2002年12月14日に、H-IIAロケットによって打ち上げられました。分離後、9日間のクリティカル運用を行い、その後、初期機能確認に移行しました。2003年1月30日からは定常運用が行われ、当初の予定を超えて実験が続けられました。その後も多様な実験が行われ、特に後期運用では新しい実験や教育利用が進められました。

最終的に、2006年9月に運用が終了し、当初の予定を超える4年半の運用期間を経ました。

マイクロラブサット2号機

マイクロラブサット2号機も同様に小型衛星による実用ミッションの実証を予定しております。地球指向の姿勢制御技術や分散制御技術など、さまざまな技術の実証が予定されています。2003年に開発が開始されましたが、技術移転へのリソース配分により、システム設計は一時中断されています。

関連する研究機関とプロジェクト

このプロジェクトは、宇宙航空研究開発機構（JAXA）や前年に開催された環境関連のプロジェクトとも関連しているため、将来的な宇宙開発の基盤を支える技術の蓄積に寄与しています。

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