マイバッハ・エクセレロ

エクセレロ：究極のマイバッハ コンセプトカー

ダイムラー・クライスラー（当時）が、タイヤメーカーであるフルダ社の協力を得て開発した、マイバッハブランドのコンセプトカーがエクセレロです。2005年、ベルリンのテンポドロームで発表されたこの車は、フルダ社の高性能タイヤ「エクセレロ」のプロモーションを目的として、世界で唯一製作されました。

ベース車両となったのはマイバッハ57。しかし、エクセレロは単なるマイバッハのチューニングカーではありません。メルセデス・ベンツが中心となり、エンジンやボディ構造の大幅な改良が施されました。心臓部となるエンジンは、マイバッハ57に搭載されているV型12気筒ツインターボをベースに、排気量を5.5Lから5.9Lへと拡大。さらに過給圧を高めることで、最高出力700PS/5,000rpm、最大トルク104kgm/2,500rpmという驚異的なパワーを発生するまでに至りました。

最高速性能を追求するため、1年以上にわたる風洞実験などの徹底的な開発が行われました。その成果は、イタリアのナルド・サーキットで記録された351.45km/hという驚異的な最高速度に如実に表れています。この速度は、当時のスーパーカーの中でもトップクラスの性能を誇っていました。

デザイン面では、フォルツハイム造形大学も開発に参加。流麗なボディラインは、まさに芸術品と呼ぶにふさわしいものです。プロトタイプの製作はイタリアのストーラ社が担当し、高い技術力が結集されました。

内装もまた、贅を尽くしたつくりとなっています。最高級の天然皮革がふんだんに使用され、赤と黒のコントラストが、レーシングカーのようなスポーティさと高級感を同時に演出しています。ドライバーとパッセンジャーは、まさに至福の空間を味わうことができたでしょう。

エクセレロは、単なるプロモーションカーの枠を超えた、技術と芸術の粋を集めた究極の1台。その存在は、今もなお多くの自動車愛好家たちの心を魅了し続けています。マイバッハブランドの伝統と革新性を体現した、歴史的なコンセプトカーとして、その存在感は計り知れません。フルダが過去に自社タイヤの高速テストのために製作したマイバッハをベースにした流線型クーペ「SW38」の流れを汲む一台とも言えます。この車は、ワンオフモデルであり、世界に一台しかない希少性もまた、大きな魅力の一つとなっています。

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