マウリシオ・デ・ソウザ

マウリシオ・デ・ソウザ：ブラジル漫画界の巨匠

マウリシオ・アラウージョ・デ・ソウザ（Mauricio Araújo de Sousa）は、1935年10月27日生まれのブラジルを代表する漫画家、ジャーナリスト、そして著作家です。彼はマウリシオ・デ・ソウザ・プロダクション社の社長としても知られています。

国民的漫画『モニカと仲間たち』

ソウザの最も有名な作品は、50年以上にわたって連載されている『モニカと仲間たち』です。この作品は彼の娘をモデルにしており、ブラジル国内で圧倒的な人気を誇ります。2016年の統計では、ソウザはブラジルで最も売れた作家の第2位にランクインしており、『モニカと仲間たち』はスペイン語や英語など、多くの言語に翻訳され、世界中で愛されています。その人気から、「ブラジルのディズニー」とも呼ばれるほどです。

若き日の情熱とキャリアの始まり

サンパウロ州のサンタ・イザベルで生まれたソウザは、幼い頃から漫画に興味を持ち、定期刊行物のポスターやイラストを描いていました。17歳で地方新聞の社会部記者としてキャリアをスタートさせましたが、1959年に新聞社を辞め、漫画家としての道を歩み始めます。そして1970年、『モニカと仲間たち』の連載を開始し、その後の成功へと繋がりました。

世界的な成功と多岐にわたる展開

『モニカと仲間たち』は漫画に留まらず、映画、テレビ、ビデオゲームなど、様々なメディアで展開され、世界的な成功を収めました。サンパウロには、『モニカと仲間たち』をテーマにした遊園地「パルケ・ダ・モニカ」も建設され、多くの人々に親しまれました（1993年開園、2010年閉園、2015年再オープン）。また、2007年には、ソウザ自身と漫画のキャラクターであるモニカが、ブラジルのユニセフ親善大使に任命されています。

スポーツ界との連携

ソウザは、スポーツ界の著名人をモデルにした作品も手掛けています。1979年にはサッカーの王様ペレをモデルにした『ペレジーニョ』、2006年にはロナウジーニョをモデルにした『ロナウジーニョ・ガウチョ』を発表し、話題を呼びました。

日本との深い繋がり

ソウザの作品には、日本との繋がりを示すエピソードが数多く存在します。例えば、彼のキャラクターの一人である菜食主義者のティラノサウルス「オラーシオ」は、サンリオの『いちご新聞』の表紙を飾ったり、深谷ねぎ「葱王」のブランドキャラクターに採用されたりしています。また、2008年には、日本人ブラジル移住100周年を記念したマスコットキャラクター「チカラくんとケイカちゃん」をデザインし、その使用権を無償で提供しました。2013年には、漫画を通じた日本文化の普及に貢献したとして、旭日小綬章を受賞しています。

手塚治虫との交流

ソウザは、日本の漫画界の巨匠、手塚治虫とも深い親交がありました。1984年に手塚がブラジルを訪問した際に出会い、意気投合。共同でアニメを制作する約束をしましたが、1989年の手塚の急逝により、その約束は実現しませんでした。しかし、2012年に出版された『モニカと仲間たち 若者編』では、手塚治虫のキャラクターであるアトム、サファイア、レオなどが登場し、モニカたちと共にアマゾンの密林を護るために戦うストーリーが描かれました。これは、手塚漫画のキャラクターが海外で使用許可を得た初の事例であり、ブラジルと日本の文化交流の象徴として認識されています。

マウリシオ・デ・ソウザは、長年にわたりブラジルの漫画界を牽引し、国内外で多大な影響を与え続けています。彼の作品は、世代を超えて愛され、多くの人々に夢と希望を与えています。

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