マグノックス炉

マグノックス炉について

マグノックス炉とは、英国によって設計された原子炉で、核分裂により生じた熱エネルギーを高温の炭酸ガス形式で取り出します。正式には黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉と呼ばれ、天然ウランを燃料に使用します。この原子炉は、発電だけでなく原子力兵器のプルトニウム供給も目的とした「デュアルパーパス」設計で、有名なコールダーホール炉が世界初の商用原子炉として1956年に運転を開始しました。

設計と機能

マグノックス炉では、燃料棒がマグネシウムとアルミニウムの合金で覆われており、これが名の由来となっています。減速材として黒鉛を使用し、この素材は核反応において中性子を減速させる役割を果たしています。また、冷却材として二酸化炭素を使用することで、炉心の温度を管理します。発電においては、生成した蒸気を用いてタービンを回し、電力を生み出します。但し、この設計には天然ウランの使用による燃焼効率の低さや、冷却に伴う熱出力の制限という欠点も存在しました。

原子炉の安全設計は当初、簡易なものでしたが、中性子の管理やガス流の調整に多くの工夫が凝らされています。具体的には、炉心の中心では中性子の流れが増加し、外側では減少するようにフロー・ギャグを設置して調整されました。さらに、動作中に燃料の補給が行える設計がなされているため、効率的な運用が可能でした。

歴史と運用

マグノックス炉は1950年代から1970年代にかけて英国で数十基が建設されました。最初のコールダーホールが商業運転を開始した後、他の多くの炉も続きましたが、国外への輸出は極めて少数にとどまりました。2015年までに、すべてのマグノックス炉が閉鎖され、その運転は完全に終了しました。ただし、この形式の原子炉は北朝鮮で引き続き利用されているため、過去の技術が現在も影響を及ぼしています。

発電の効率は時代の進展とともに他の原子炉設計と比較して低く、最初のコールダーホール炉の発電効率は当時の基準では非常に低い18.8%でした。政府は原子力発電の推進を決定し、1965年までに発電量を目標にしていましたが、その経済性には課題も残りました。

備考

マグノックス炉はその設計と運用において多くの進展を遂げてきましたが、技術の進化にともない、より効率的な発電方式が求められるようになり、マグノックス設計は改良型ガス冷却炉（AGR）に取って代わられていくこととなりました。原子力発電は継続的な進化を遂げ、新たな時代を迎えていますが、マグノックス炉はその歴史の中で重要な地位を占めた原子炉であると言えます。

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