マシュー・ステュアート (第4代レノックス伯)

マシュー・ステュアート（1516年9月21日 - 1571年9月4日）は、16世紀のスコットランドにおいて重要な役割を果たした貴族であり、第4代レノックス伯として知られています。彼はスコットランド女王メアリー1世の二番目の夫であるダーンリー卿ヘンリー・ステュアートの父親であり、さらにスコットランド王ジェームズ6世、そしてイングランド王としてはジェームズ1世となる人物の祖父にあたります。

生い立ちと家系

マシュー・ステュアートは、第3代レノックス伯ジョン・ステュアートの息子として生まれました。彼の家系は、ステュアート王家の一族ではありましたが、王家の直系ではなく、ロバート2世の祖父にあたる第5代王室執事長ジェームズ・ステュアートの弟から始まる分家、ステュアート・オブ・ダーンリー家の末裔でした。しかし、父方の祖母であるエリザベス・ハミルトンがジェームズ2世の娘メアリーを母としていたため、スコットランドの王位継承権を強く主張できる立場にありました。

結婚と家族

1544年、マシューはマーガレット・ダグラスと結婚しました。マーガレットはイングランド王ヘンリー8世の姉であるマーガレット・テューダーを母とするジェームズ5世の異父妹であり、彼女自身もイングランドの有力な王位継承権者でした。この結婚は、両家の権威と影響力をさらに強めるものでした。マシューとマーガレットの間には、後にスコットランド女王メアリー1世と結婚するダーンリー卿ヘンリーと、レノックス伯チャールズという二人の息子が生まれました。

複雑な政情と悲劇

1565年、マシューの長男ヘンリーはメアリー1世と結婚し、翌1566年には二人の間に息子ジェームズが誕生しました。しかし、1567年にヘンリーが謎の死を遂げたことで、スコットランドの政情は大きく混乱します。メアリー1世は退位させられ、幼いジェームズが王位を継承することになりました。メアリーの庶兄であるマリ伯ジェームズ・ステュアートが摂政となりますが、1570年に暗殺されてしまいます。

レノックス伯の摂政就任と最期

マリ伯の死後、王の祖父であるマシュー・ステュアートが摂政に任命されました。しかし、彼もまた翌1571年に暗殺され、激動の時代の中で短い摂政としての生涯を終えました。マシューの人生は、スコットランド王位を巡る複雑な権力闘争と、それに関わる人々の悲劇的な運命を象徴するものでした。

マシュー・ステュアートの生涯は、スコットランド史における重要な転換期を映し出す鏡であり、彼の子孫たちが後にイングランド王位を継承していく上で、大きな役割を果たした人物であると言えるでしょう。

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