マッカートニーII

アルバム『マッカートニーII』の概要

『マッカートニーII』は、ポール・マッカートニーが1980年にリリースしたアルバムであり、商業的にも成功を収めました。全米チャートで3位、全英チャートで1位に輝き、多くのリスナーに愛される名盤となっています。このアルバムは、マッカートニーがウイングスとしての活動に加え、自身のソロ名義での作品を発表するという重要な時期に制作されました。

制作の背景

1979年7月、マッカートニーは自宅のスタジオで録音を開始しました。その後、スコットランドにある農場のスタジオにスタジオを移し、制作作業を続けました。セッションでは20曲以上の楽曲が録音されましたが、すぐにアルバムとしては発表せず、ウイングスのツアーに向けた準備を進めました。同時期に「ワンダフル・クリスマスタイム」というシングルがリリースされ、ソロ活動とバンド活動を両立させていました。

しかし、1980年1月に予定されていたウイングスの日本公演を前に、成田空港で麻薬を所持していたとして逮捕されるという事件が起こり、その結果公演は中止となりました。この出来事がきっかけで、マッカートニーは活動を一時休止し、すでに録音された楽曲をアルバムとしてまとめてリリースすることを決定しました。個人名義でのアルバムは、『マッカートニー』以来10年ぶりのことでした。

アルバムの制作スタイル

『マッカートニーII』では、ほとんど全ての楽器をマッカートニーが演奏し制作されました。録音は最初、遊び感覚で始まりましたが、その楽しさからセッションは本来の予定を超えて続けられました。彼は「最初は2週間の予定だったのに、6週間になった」と語っています。このアルバムにあたる録音機材は、『マッカートニー』制作時の4トラックから16トラックに増加し、テクノを意識したサウンドや打ち込みなども取り入れられています。

収録曲と特徴

アルバムには、「カミング・アップ」や「ウォーターフォールズ」といった楽曲が含まれており、これらはマッカートニーの作風を色濃く反映させた作品となっています。また、珍しいことに、「フローズン・ジャパニーズ」といった東洋風のインストゥルメンタル曲も収録されており、多様なスタイルが感じられます。

ジャケットデザインには、マッカートニーの顔がフィーチャーされており、これは1979年のウイングスのフォトセッションで撮影されたもので、リンダ・マッカートニーによって撮影されたものだと言われています。

収録楽曲

• - カミング・アップ - Coming Up
• - テンポラリー・セクレタリー - Temporary Secretary
• - オン・ザ・ウェイ - On The Way
• - ウォーターフォールズ - Waterfalls
• - ノーボディ・ノウズ - Nobody Knows
• - フロント・パーラー - Front Parlour
• - サマーズ・デイ・ソング - Summer’s Day Song
• - フローズン・ジャパニーズ - Frozen Jap
• - ボギー・ミュージック - Bogey Music
• - ダークルーム - Darkroom
• - ワン・オブ・ディーズ・デイズ - One Of These Days

この他、デジタル・リマスター版やスーパー・デラックス・エディションでは、ボーナストラックも収録されています。

演奏者

マッカートニーはボーカル、ギター、ベース、エレクトリックピアノ、シンセサイザー、キーボード、ドラムスなど多才な楽器を演奏しています。また、リンダ・マッカートニーもアディショナルボーカルとして参加しています。

『マッカートニーII』は、ポール・マッカートニーの音楽的探求と創造性の集大成であり、彼のアーティストとしての成長を示す重要な作品と言えるでしょう。

もう一度検索