マッキントッシュ:カナダ原産の人気リンゴ
マッキントッシュは、カナダ東部を原産とする
リンゴの品種で、その特徴的な色と風味が広く愛されています。赤と緑の皮、白い果肉、そして酸味のある味わいが特徴で、生食はもちろん、料理にも適しています。また、この品種はアップルコンピュータのMacintoshシリーズのパーソナルコンピュータの名称の由来となったことでも知られています。
マッキントッシュの特徴
マッキントッシュは、中くらいの大きさで丸い形をしています。平均的な直径は約7.6センチメートル、重さは約180グラムです。皮は厚めで柔らかく、赤と緑の色が混ざり合っています。果肉は白く、時には緑やピンクがかった色合いを見せることもあります。ジューシーで柔らかい食感が特徴で、熟すとすぐに柔らかくなります。
この
リンゴは万能食材として、生で食べるだけでなく、様々な料理にも使われます。特にデザートに適しており、調理時間が他の品種よりも短いのが特徴です。ジュースにする場合は、他の品種とブレンドされることが多いです。
CA貯蔵技術
マッキントッシュは、長期保存のためにCA貯蔵(Controlled Atmosphere Storage)技術が利用されています。これは、通常の冷蔵に加えて、貯蔵庫内の酸素と二酸化炭素の濃度を人工的に調整する方法です。この技術により、マッキントッシュは最適な条件(1.7 - 3.0℃の温度、1.5〜4.5%の酸素、1〜5%の二酸化炭素)下で5〜8ヶ月間保存できます。
栽培
マッキントッシュは、カナダ、アメリカ、東ヨーロッパで主に栽培されています。カナダでは特に
オンタリオ州、
ケベック州、
ノバスコシア州、ブリティッシュコロンビア州などで生産されています。この品種は、比較的丈夫な木で、毎年または隔年で実を結びます。耐寒性もあり、-34℃まで耐えることができます。
日本では「旭」という名前で栽培されており、1890年に札幌農学校に寄贈されたのが始まりとされています。かつては、早生品種の「祝」と晩生品種の「紅玉」や「スターキング」の間を繋ぐ品種として普及しましたが、現在は生産量が減少しています。
マッキントッシュは自家不和合性であるため、受粉には別の品種の木が必要です。ミツバチが主な受粉媒介者です。冷涼な気候と晴天が多い地域でよく育ちますが、そうでない場合は、色づきが悪くなったり、果肉が柔らかくなったり、収穫前に落果する傾向があります。また、
リンゴ黒星病に感染しやすく、病害や貯蔵中の障害にも注意が必要です。
系統と交配種
マッキントッシュの親子関係は正確には分かっていませんが、'Snow
Apple'、'Fall St Lawrence'、'Alexander'などが親品種として推測されています。また、'Fameuse'と‘Detroit Red’の交雑種である可能性も指摘されています。
マッキントッシュは、他の品種の耐寒性を向上させる交配種として多く利用されており、多くの品種の親となっています。マカウン、スパルタン、コートランド、エンパイヤー、ジョナマックなどがその例です。
歴史
マッキントッシュの歴史は、1811年にジョン・マッキントッシュが
アッパー・カナダのダンデラ農場で発見した野生の苗木から始まりました。彼はこの苗木を栽培し、その子孫たちが
接ぎ木技術によってこの品種を広めました。1835年には果実の販売が始まり、1870年には商業生産が開始されました。
20世紀初頭には、カナダの園芸家ウィリアム・ティレル・マクーンがマッキントッシュを推奨し、その人気を確立しました。1930年代には、厳しい冬で多くの木が枯れたため、マッキントッシュがその代替として栽培されるようになりました。しかし、21世紀に入ると、ガラなどの他の品種との競争により、人気は低下しています。それでも、
オンタリオ州では依然として重要な品種として栽培されています。
原木は1910年に枯死しましたが、そのクローンである木から採取された枝を
接ぎ木し、現在もその遺伝子が受け継がれています。マッキントッシュはカナダのナショナルアップルとして指定されており、その歴史を記念するモニュメントも建てられています。
逸話
アップルの技術者、ジェフ・ラスキンは、この
リンゴにちなんでMacintoshシリーズのパーソナルコンピュータを名付けました。高級音響機器メーカーの
マッキントッシュ・ラボとの競合を避けるために、綴りをわずかに変更しました。
また、カナダの政治家アンドリュー・マクノートンが、ソ連の
スパイに関するウィットに富んだコメントの中で、マッキントッシュの名前を挙げた逸話も残っています。
マッキントッシュは、その歴史、特徴、栽培、そして数々の逸話を通じて、多くの人々に愛され続けている
リンゴです。